[記事公開日]2023/03/15
[最終更新日]2026/08/14
「パソコンの電源スイッチボタンのLEDが消えていて、押しても電源が入らない」症状で考えられる原因とトラブル解決方法
パソコンの電源スイッチを押しても、電源LEDが点灯せず、ファンも回らず、まったく反応しないことがあります。
この記事では、元記事で扱っていた電源ケーブル式の一体型パソコンを中心に、「電源スイッチのLEDが消えていて、押しても電源が入らない」症状を安全な順番で切り分けます。
この症状では、電源ケーブルやACアダプターの接続不良、コンセントや電源タップ、電源スイッチ、電源ユニット、マザーボード、さらに接続されている別の部品まで原因になることがあります。
最初から分解や部品交換をするのではなく、「本当に無通電なのか」を外側から確認することが重要です。
最初に「電源が入らない」と「画面が映らない」を分ける
電源ボタンを押して画面が真っ暗でも、必ずしも「電源が入っていない」とは限りません。
| 確認するもの | 状態 | 考え方 |
|---|---|---|
| 電源LED | 完全に消灯 | 電源供給・電源回路を優先して確認 |
| ファン | まったく回らない | 無通電・電源スイッチ・電源回路の可能性 |
| ファン | 回っている | 「無通電」ではなく、画面表示やPOSTの問題を疑う |
| キーボード・診断LED | 点灯・点滅する | 何らかの電源は入っている可能性 |
| HDD・SSDアクセス音 | 動作している | 表示系トラブルの可能性 |
電源LEDが消えていても、背面やACアダプターに別のLEDがある機種では、その点灯状態も確認してください。
逆に、LEDやファンが動作しているのに画面だけ映らない場合は、この記事の「完全に無反応」とは切り分けが異なります。
考えられる主な原因
- 壁コンセントに電気が来ていない
- 電源タップ・延長コード・UPSの不具合
- 電源ケーブルの抜け・断線
- ACアダプターの故障
- 本体側DCジャックや電源入力端子の破損
- 電源ボタン・電源スイッチ基板・ケーブルの故障
- 電源ユニットの故障
- マザーボードの故障・短絡
- USB機器や内部部品の故障による保護動作
- 落雷、液体、焦げ、異常発熱などによる電源回路の損傷
手順1:焦げ臭さ・煙・液体侵入がないか確認する
最初に安全確認を行います。
次の症状がある場合は、何度も電源を入れようとしないでください。
- 焦げ臭い
- 煙が出た
- 「パチッ」という音がした直後から起動しない
- 飲み物や水がかかった
- ACアダプターや電源ケーブルが異常に熱い
- ケーブルが溶けている、変色している
- 本体内部から異常なにおいがする
重要:焦げ臭さ、発煙、液体侵入がある場合は、コンセントとACアダプターを外し、通電を止めてください。原因確認のために何度も電源を入れると、故障範囲が広がる可能性があります。
手順2:壁コンセントと電源タップを確認する
パソコン本体を分解する前に、まず電源元を確認します。
- 電源タップを使用している場合は、スイッチが入っているか確認します。
- 可能であれば電源タップを介さず、壁コンセントへ直接接続します。
- 同じコンセントに、正常な照明など別の機器を接続して通電を確認します。
Dellの公式トラブルシューティングでも、電源が入らない場合は最初に壁コンセントと電源タップを確認し、可能なら電源タップを迂回して正常なコンセントへ直接接続するよう案内されています。
Dell:Computer Won’t Turn On – Troubleshoot Power Issues
手順3:電源ケーブル・ACアダプターを挿し直す
電源ケーブルやACアダプターの接触不良でも、電源LEDが点灯せず完全に無反応になることがあります。
- パソコンの電源ケーブルまたはACアダプターを抜きます。
- 壁コンセント側も抜きます。
- コネクターの曲がり、破損、焦げ、異物がないか確認します。
- 本体側・コンセント側とも奥まで確実に挿し直します。
一体型パソコンには、一般的なデスクトップPCのように電源ケーブルを直接本体へ接続するタイプと、ノートPCのように外付けACアダプターを使用するタイプがあります。
見た目が似ていても電源方式は機種によって異なるため、型番を確認して切り分けることが大切です。
手順4:別の電源ケーブル・ACアダプターで確認するときの注意
元記事では、別のパソコンで使っている電源ケーブルやACアダプターと入れ替えて確認する方法を紹介していました。
これは有効な切り分けですが、ACアダプターは何でも流用してよいわけではありません。
電源ケーブルの場合
本体側コネクターの規格が同じ一般的なAC電源ケーブルで、定格を満たしていることを確認できる場合は、正常品と交換して切り分けできます。
ACアダプターの場合
交換テストをする場合は、少なくとも次を確認してください。
- メーカーが対象機種で使用可能としている
- 出力電圧が一致している
- 必要な出力電流・電力を満たしている
- コネクター形状が一致している
- 極性が一致している
- USB Type-C給電の場合は必要なUSB Power Delivery条件を満たしている
注意:コネクターが刺さるという理由だけで、別機種のACアダプターを接続しないでください。電圧・極性・電力条件が合わないアダプターは、本体故障や発熱の原因になります。
ACアダプターにLEDが付いている機種では、コンセントへ接続した時点でLEDが点くか、本体へ挿した瞬間に消灯しないかも確認材料になります。ただしLEDの意味はメーカー・機種ごとに異なります。
手順5:USB機器や周辺機器をすべて外す
外付け機器の故障や短絡によって、電源投入が妨げられることがあります。
一度、電源に不要なものを外してください。
電源ケーブルまたはACアダプターだけを接続した状態で起動を確認します。
Dellも「No Power」の切り分けとして外部機器を取り外して確認する方法を案内しています。
手順6:残留電荷を放電してから起動を確認する
電源回路の保護状態や一時的な電気的状態によって起動できない場合、電源を外して放電すると改善することがあります。
一般的な確認方法は次のとおりです。
- 電源ケーブルまたはACアダプターを本体から外します。
- USB機器などの周辺機器も外します。
- 電源ボタンを15~30秒程度押し続けます。
- 電源ボタンから手を離します。
- 電源ケーブルまたはACアダプターだけを接続します。
- 通常どおり電源ボタンを押します。
メーカーや機種によって指定時間やリセット方法が異なるため、型番が分かる場合はメーカー公式手順を優先してください。
HPも、電源問題の対処としてAC電源を外した状態で電源ボタンを一定時間押す「power reset」を案内しています。
HP:How to power reset your computer
手順7:電源ボタン自体を確認する
電源ケーブルやACアダプターに問題がなく、放電しても完全に無反応の場合は、電源スイッチ側の故障も考えられます。
まず外側から確認します。
- ボタンが陥没していないか
- 押した感触が以前と違わないか
- 押したまま戻らない状態になっていないか
- ボタン周辺が割れていないか
- 強く押さないと反応しない状態が以前からなかったか
一体型パソコンでは、外装のボタンから内部の小型スイッチ基板へ力を伝える構造や、電源スイッチ基板とマザーボードをケーブルで接続する構造があります。
外から見えるボタンが正常でも、内部のスイッチ、基板、ケーブルが故障している場合があります。
電源スイッチをテスターで確認する作業は修理向け
元記事ではマルチメーターを使って電源スイッチを検証する方法を紹介していました。スイッチ単体の導通確認は有効ですが、パソコンの分解が必要です。
確認する場合は、必ず電源ケーブル・ACアダプターを外した状態で行い、スイッチ単体や低電圧側の回路だけを対象にします。
危険:電源ユニット内部やAC100Vが加わる一次側回路を一般利用者がマルチメーターで測定するのは避けてください。コンセントを抜いたあとも高電圧が残る部品があり、感電の危険があります。
手順8:電源ユニットの故障を切り分ける
電源ケーブルを直接接続するタイプの一体型PCやデスクトップPCでは、内部に電源ユニットが搭載されている場合があります。
電源ユニットが故障すると、次のような症状になることがあります。
- 電源ボタンを押しても完全に無反応
- 電源LEDが点灯しない
- 以前から突然電源が落ちることがあった
- 電源が入ったり入らなかったりしていた
- 焦げ臭さや異音があった
一方、外付けACアダプター式の一体型パソコンでは、一般的な内蔵電源ユニットがない構造もあります。
メーカーの自己診断機能があれば先に利用する
Dellの一部デスクトップ・一体型PCの電源ユニットには、BIST(Built-In Self-Test)ボタンや診断LEDが搭載されています。
対応機種では、電源ユニットを分解せずに出力状態の目安を確認できます。
Dell:How to Run a Power Supply Unit Self-Test
BISTの有無や判定方法は機種ごとに異なるため、対象機種のサービスマニュアルを確認してください。
電源ユニットを開けて確認しない
電源ユニットのケース内部には、コンセントを抜いたあとも電荷を保持する部品があります。
電源ユニット本体を開けて内部を測定・修理するのは危険です。故障が疑われる場合は、メーカー診断、対応する正常品への交換確認、修理業者での診断を優先してください。
手順9:マザーボード故障を疑う
電源供給と電源スイッチに問題がなく、正常な電源ユニットやACアダプターでも無反応の場合は、マザーボード側の故障が考えられます。
マザーボード故障では、次のような状態があります。
- 電源入力回路の故障
- 基板上の部品の短絡
- 電源管理回路の故障
- 落雷・過電圧による損傷
- 液体侵入や腐食
- 別の内部部品の短絡による保護動作
見た目で故障箇所が分かる場合もありますが、外観に異常がなくても基板故障は発生します。
目視確認で注意すること
分解経験があり、メーカーのサービスマニュアルに従って内部を確認する場合は、次のような異常がないか確認します。
- 焦げた跡
- 変色
- 液体侵入跡
- 腐食
- コネクターの抜け
- 部品の破損
ただし、一体型パソコンは液晶パネル背面に電源回路や基板が密集し、分解難易度が高い機種があります。無理に分解すると液晶パネル、ケーブル、外装を破損することがあります。
実際の修理事例:内蔵スピーカーが原因で電源が入らなかったケース
元記事で紹介していた、実際に遭遇した修理事例です。
電源ボタンを押しても完全に無反応になるパソコンを順番に切り分けたところ、内蔵スピーカーをマザーボードへ接続すると電源が入らなくなり、スピーカーを外すと起動するというケースがありました。
前日までは正常に使用できており、音が出ない、音が割れるといった分かりやすい前兆もありませんでした。
このように、電源スイッチや電源ユニット、マザーボードそのものではなく、マザーボードへ接続されている別の部品の故障や短絡によって保護回路が働き、電源が入らなくなることがあります。
この事例からも、主要部品を交換して終わりにするのではなく、接続されている部品を一つずつ切り分けることが重要だと分かります。
内部部品を外して切り分けるのは修理作業
電源ユニットやマザーボードを交換しても改善しない場合、内部に接続されている部品を一つずつ外しながら原因を絞り込むことがあります。
対象になるものは機種によって異なります。
ただし、これはパソコン内部を扱う修理レベルの切り分けです。電源を接続したまま部品を抜き差ししないでください。
一体型PCでは電源回路と液晶回路が近く、機種によって危険箇所も異なるため、分解に慣れていない場合は修理へ出すことをおすすめします。
一体型パソコンは「電源ケーブル式」と「ACアダプター式」で切り分けが変わる
元記事でも重要なポイントとして、一体型パソコンには複数の電源構成があることを説明していました。
| 電源方式 | 主な構成 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 電源ケーブルを本体へ直接接続 | 内部電源ユニットを搭載する機種がある | ケーブル、電源ユニット、電源スイッチ、マザーボード |
| 外付けACアダプターを接続 | 外部でACをDCへ変換 | ACアダプター、DCジャック、電源スイッチ、マザーボード |
同じ「一体型パソコン」でも内部構造は大きく異なります。
修理や部品購入を行う場合は、「一体型PC用」などの大まかな分類ではなく、メーカー名と正確な型番で部品・サービスマニュアルを確認してください。
電源ユニットを交換するときの注意
デスクトップPCでは見た目が同じ電源ユニットでも、メーカー独自コネクターや独自配線を使用する機種があります。一体型PCはさらに専用品が多くなります。
交換する場合は次を確認してください。
- 対応機種
- 部品番号
- 出力容量
- コネクター形状
- ピン配列
- 固定位置と外形寸法
コネクターが挿さるだけで互換と判断しないでください。
マザーボード交換前に確認したいこと
マザーボードは高価で、交換後にWindowsやライセンス、BitLocker、メーカー固有設定などへ影響する場合があります。
交換前に、少なくとも次を確認してください。
- 電源ケーブル・ACアダプターが正常か
- 電源スイッチが正常か
- 電源ユニットが正常か
- 周辺機器を外しても変化がないか
- 内部の別部品が短絡していないか
- 焦げ・液体侵入など明確な損傷がないか
同型機の正常部品を使った交換診断は非常に有効ですが、互換性と作業安全を確認できる修理環境向けの方法です。
データは残っている可能性が高い
パソコン本体の電源が入らなくても、HDD/SSDまで故障しているとは限りません。
電源スイッチ、電源ユニット、マザーボードなどが原因で起動できない場合でも、ストレージ内のデータを別のパソコンで読めることがあります。
仕事のデータ、写真、文書などが重要な場合は、修理よりデータ救出を優先する選択肢もあります。
ただし:焦げ、液体侵入、落雷などがある場合は、ストレージにも電気的な損傷が及んでいる可能性があります。何度も通電せず、必要なデータが最優先なら早めに専門業者へ相談してください。
やってはいけない対処
何度も電源ボタンを連打する
単なる接触不良なら変化することもありますが、短絡や電源部品故障がある場合は繰り返し通電しないほうが安全です。
適合しないACアダプターを試す
電圧、極性、電力、コネクター条件が違うACアダプターは使用しないでください。
電源ユニットを分解する
電源ユニット内部には高電圧を扱う回路があります。コンセントを抜いた状態でも危険なため、一般利用者がケースを開けて修理・測定することは避けてください。
通電したまま内部部品を抜き差しする
ショートや部品破損、感電の原因になります。内部作業時は必ず電源を完全に外します。
マザーボード故障と決めつけて先に交換する
電源スイッチ、電源ユニット、外付け機器、内部スピーカーなど別の部品でも同じ無反応症状が発生します。
安全な切り分け順
- 焦げ臭さ・煙・液体侵入がないか確認する
- LED・ファンなど、本当に完全無反応か確認する
- 壁コンセントと電源タップを確認する
- 電源ケーブル・ACアダプターを挿し直す
- すべてのUSB・周辺機器を外す
- 電源を外して残留電荷を放電する
- 対応する正常な電源ケーブル・ACアダプターで切り分ける
- 電源ボタンの破損・固着を確認する
- メーカーの電源診断機能があれば利用する
- 修理レベルで電源スイッチ、電源ユニット、マザーボード、内部部品を切り分ける
症状別の判断目安
| 症状 | 優先して疑う場所 |
|---|---|
| LEDもファンも完全に無反応 | コンセント、ケーブル、ACアダプター、電源ユニット、電源スイッチ、マザーボード |
| ACアダプターのLEDも消えている | コンセント、ACケーブル、ACアダプター |
| ACアダプター単体ではLED点灯、本体へ挿すと消える | 本体側電源回路の短絡など |
| 電源ボタンが陥没・押し感がない | 電源ボタン機構、スイッチ基板 |
| 一瞬LEDが点いてすぐ消える | 電源保護動作、短絡、マザーボード、内部部品 |
| LED・ファンは動くが画面だけ映らない | 無通電ではなく、POST・メモリ・映像系の切り分け |
| 焦げ臭い・煙が出た | 通電停止。電源回路・基板の修理診断 |
修理へ出したほうがよいケース
- 焦げ臭い、煙、液体侵入がある
- 正常なコンセントと電源ケーブルでも完全に無反応
- 対応する正常なACアダプターでも起動しない
- ACアダプターのLEDが本体へ接続すると消える
- 電源ボタンが陥没・破損している
- メーカーのPSU自己診断で異常が出る
- 内部電源ユニットやマザーボード診断が必要
- 一体型PCを分解しなければ原因確認できない
- 重要なデータがあり、通電を繰り返したくない
よくある質問
電源ボタンのLEDが消えているなら、電源ユニット故障ですか?
電源ユニット故障とは限りません。コンセント、電源ケーブル、ACアダプター、電源スイッチ、マザーボード、別部品の短絡などでも同じ症状が発生します。
一体型パソコンにも電源ユニットがありますか?
機種によります。電源ケーブルを本体へ直接接続し内部に電源ユニットを持つタイプと、外付けACアダプターを使うタイプがあります。型番から仕様を確認してください。
別のACアダプターを挿して試してもよいですか?
対応機種、電圧、電力、コネクター、極性などが合うことを確認できる場合だけにしてください。形が似ているだけのアダプターは使用しないでください。
電源ユニットをテスターで測れば故障が分かりますか?
修理現場では電源出力の測定や専用テスターを使うことがありますが、電源ユニット内部には危険な高電圧があります。一般利用者が分解して測定するのは避け、メーカーのBISTや正常な交換部品による切り分けを優先してください。
マザーボードを交換すれば直りますか?
マザーボードが原因なら改善しますが、電源スイッチ、電源ユニット、周辺部品の短絡でも同じ症状が出ます。元記事の実例では、内蔵スピーカー接続が原因で電源が入らないケースもありました。交換前の切り分けが重要です。
電源が入らないPCからデータを取り出せますか?
HDD/SSD自体が故障していなければ、別のパソコンへ接続してデータを読み出せる場合があります。データが重要で、焦げや液体侵入などがある場合は、通電を繰り返さずデータ救出を優先してください。
まとめ
電源スイッチのLEDが消えていて、押しても電源が入らない場合は、いきなり電源ユニットやマザーボードの故障と決めつけず、外側から順番に確認することが大切です。
まずは壁コンセント → 電源タップ → 電源ケーブル/ACアダプター → 周辺機器 → 放電 → 電源ボタンの順に確認します。
それでも完全に無反応なら、電源ユニット、マザーボード、内部の接続部品まで切り分けます。
元記事の実修理例のように、内蔵スピーカーなど一見電源と関係なさそうな部品が故障し、接続すると電源が入らなくなるケースもあります。そのため、主要部品を交換するだけでなく、一つずつ原因を絞ることが重要です。
なお、電源ユニット内部やAC100Vが加わる回路は感電の危険があります。一体型パソコンの分解や電源回路の測定に慣れていない場合は、外側からできる確認までにとどめ、修理業者へ相談してください。
