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[記事公開日]2023/04/10
[最終更新日]2026/08/14

メモリ

パソコンに搭載されている「メモリ」は、一般にRAM(Random Access Memory)と呼ばれる部品です。Windowsやアプリが動作するときに必要なデータを一時的に置いておく場所で、CPUがすばやく読み書きできるようにする役割があります。

メモリ容量が不足すると、アプリの切り替えが遅くなったり、ストレージへの退避が増えて動作が重くなったりします。一方、メモリそのものに不具合があると、ブルースクリーン、フリーズ、再起動、起動不能など、パソコン全体が不安定になることがあります。

この記事では、メモリの基本、デスクトップ用とノート用の違い、増設時の注意点、メモリ故障で実際に発生することがある症状、安全な切り分け方法をまとめます。

パソコンのメモリとは

メモリは、CPUが現在使っているプログラムやデータを一時的に保持する高速な記憶領域です。

SSDHDDもデータを保存する装置ですが、役割が異なります。

部品 主な役割 電源を切ったあとのデータ
メモリ(RAM) 実行中のWindows・アプリ・データを一時的に保持 基本的に消える
SSD/HDD Windows、アプリ、写真、文書などを保存 残る

メモリ容量が多いほど、複数のアプリや大きなデータを同時に扱いやすくなります。ただし、容量を増やせば必ずすべてのパソコンが速くなるわけではありません。

CPU性能、ストレージ速度、アプリの処理内容など、ほかの部品も体感速度に影響します。

デスクトップ用とノート用メモリの違い

一般的なパソコンでは、デスクトップとノートでメモリモジュールの形状が異なります。

デスクトップではDIMMが一般的

一般的なデスクトップPCでは、DIMM(Dual In-Line Memory Module)と呼ばれる細長いメモリモジュールが使われます。

ノートではSO-DIMMが一般的

一般的なノートPCや小型PCでは、DIMMより短いSO-DIMM(Small Outline DIMM)が使われます。

Kingstonも、PCで一般的なメモリモジュール形状としてDIMMとSO-DIMMを案内しており、デスクトップ向けとノート向けでは形状が異なります。

Kingston:What is Computer Memory?

ただし、薄型ノートや一部の小型PCでは、メモリが基板へ直接実装されていて交換・増設できない機種もあります。購入前に機種仕様を確認してください。

DDR3・DDR4・DDR5は互換ではない

パソコン用メモリには、DDR3、DDR4、DDR5など複数の世代があります。

世代が違うメモリは基本的に互換性がありません。たとえばDDR5メモリをDDR4用スロットへ取り付けることはできません。

Crucialも、DDR世代間には前方・後方互換性がなく、DDR5はDDR4やDDR3用システムでは使用できないと案内しています。

Crucial:DDR memory speeds and compatibility

切り欠き位置も異なるため、合わないメモリを無理に押し込まないでください。

メモリを購入するときに確認する項目

メモリ増設や交換では、「DDR4かDDR5か」だけでは不十分です。

少なくとも次を確認します。

  • パソコンの正確なメーカー・型番
  • DDR世代
  • DIMM/SO-DIMMなどの形状
  • 対応する最大搭載容量
  • 1スロットあたりの対応容量
  • メモリスロット数
  • 現在搭載されている容量・枚数
  • 対応速度
  • ECC/Non-ECCの対応
  • Registered/Unbufferedなどの種類

自作PCでは、マザーボードだけでなくCPU側にも対応メモリの条件があります。

メーカー製パソコンでは、メーカーの仕様表やメモリメーカーの互換検索を利用すると確認しやすくなります。

最大搭載メモリを確認する

元記事でも重要な注意点として紹介していたのが、パソコンごとに決められた最大搭載メモリです。

実際の対応では、最大搭載メモリが8GBとされているパソコンに8GB×2枚、合計16GBを搭載したところ、原因不明のブルースクリーンが多発したケースがありました。

すべての機種で「メーカー公称値を超えると必ず不安定になる」という意味ではありませんが、CPU、チップセット、BIOS/UEFI、メモリ構成などの制約によって、認識しない、容量が一部しか使えない、不安定になるといった問題が起こることがあります。

増設前は、パソコンメーカーまたはマザーボードメーカーが案内している対応容量を優先して確認してください。

同じDDR世代でも相性や設定で不安定になることがある

DDR世代や形状が合っていても、必ず安定動作するとは限りません。

次のような条件で不安定になることがあります。

  • 異なる容量や仕様のメモリを混在させた
  • 異なるメーカー・型番を組み合わせた
  • 対応範囲を超える速度設定になっている
  • XMP/EXPOなどのメモリプロファイルを有効にしている
  • 4枚挿しなど、CPUやマザーボードに負荷の高い構成
  • BIOS/UEFIが古く、特定メモリとの相性問題がある
  • メモリスロットやCPUソケット側に接触不良がある

増設直後から不具合が始まった場合は、まず増設前の構成へ戻して症状が消えるか確認すると切り分けしやすくなります。

メモリ故障で発生することがある症状

メモリ故障では、症状が一定しないことがあります。

元記事では、実際にメモリ不良時に見られた症状として次のような例を紹介していました。

電源は入るが画面に何も表示されない

電源LEDやファンは動作しているのに、メーカーのロゴも表示されず、画面が真っ暗なままになることがあります。

しばらくすると電源が落ち、再び自動的に電源が入る機種もあります。

ただし、この症状はマザーボード、CPU、グラフィックボード、電源などでも発生します。

電源が入る→落ちる→再び入るを繰り返す

電源を入れると数秒で電源が落ち、その後また電源が入り、同じ動作を繰り返すことがあります。

メモリの初期化に失敗している場合に見られることがありますが、BIOS/UEFI、CPU、電源、マザーボードなども原因候補です。

ファンが回転→停止→回転を繰り返す

画面が表示されず、ファンの回転と停止だけを繰り返すケースがあります。

これもメモリだけの専用症状ではないため、ビープ音や診断LED、メーカー診断コードがある場合は合わせて確認してください。

ファンが高速で回転し続ける

電源ボタンを押した直後からファンが高速回転し、画面には何も表示されないことがあります。

複数ファンを搭載している機種では、すべてのファンが高速回転する場合もあります。

POSTが正常に進まずファン制御が始まっていない場合などでも似た状態になるため、メモリだけで断定しないでください。

完全にフリーズする

Windows起動前、起動中、起動後を問わず、突然完全に操作不能になることがあります。

マウスカーソルも動かず、Ctrl + Alt + Deleteにも反応しないようなフリーズです。

ただし、ストレージ、CPU、GPU、ドライバー、電源、熱暴走などでも完全フリーズは発生します。

ブルースクリーンが発生する

Windows起動中や使用中にブルースクリーンが発生することがあります。

メモリ不良の場合、毎回同じ停止コードになるとは限らず、複数の異なるエラーが出ることもあります。

「ブルースクリーンが出た=メモリ故障」とは断定できません。ドライバーやストレージ、Windowsシステム、CPUなどでもブルースクリーンは発生します。

画面が乱れてフリーズする

起動中やWindows使用中に画面表示が乱れ、そのままマウスやキーボードも反応しなくなることがあります。

メモリ不良で発生することもありますが、グラフィックボードや内蔵GPU、VRAM、ディスプレイドライバーなども重要な原因候補です。

複数のアプリで原因不明のエラーが出る

特定アプリだけではなく、さまざまなアプリでランダムにエラーが発生したり、起動できなくなったりすることがあります。

再起動すると一時的に改善し、その後また別のアプリでエラーが出るような場合は、メモリやストレージなどパソコン全体へ影響する原因も疑います。

予兆なく突然再起動する

パソコン使用中に前触れなく突然再起動することがあります。

ブルースクリーンが一瞬表示されている場合もあれば、何も表示されず再起動することもあります。

電源ユニット、CPU温度、マザーボードなどでも同じ症状が出るため、メモリだけに決めつけないことが重要です。

メモリ容量不足とメモリ故障は別の問題

「メモリが足りない」と「メモリが壊れている」は意味が違います。

状態 よくある症状
容量不足 アプリ切り替えが遅い、ストレージ使用率が上がる、動作が重い
メモリ故障・不安定 フリーズ、ブルースクリーン、再起動、POST失敗、データ化け

容量不足なら増設で改善することがありますが、故障や相性問題では、単純に容量を増やすだけでは直りません。

Windows上で搭載メモリを確認する

Windowsが正常に起動できる場合は、タスクマネージャーから搭載メモリの概要を確認できます。

  1. Ctrl + Shift + Esc を押してタスクマネージャーを開きます。
  2. 「パフォーマンス」を開きます。
  3. 「メモリ」を選びます。

環境によって、搭載容量、使用量、速度、使用中スロット数などを確認できます。

物理的に16GB搭載したはずなのにWindowsでは8GBしか認識していないなど、増設後に容量が合わない場合は、メモリの装着状態、スロット、互換性、BIOS/UEFI認識などを確認します。

Windowsメモリ診断で確認する

Windowsが起動できる場合は、Windows標準の「Windows メモリ診断」でメモリをチェックできます。

  1. スタートメニューや検索で「Windows メモリ診断」を検索します。
  2. 「今すぐ再起動して問題の有無を確認する」を選びます。
  3. パソコンが再起動し、メモリテストが実行されます。
  4. テスト完了後、Windowsが再起動します。

MicrosoftもSurfaceの診断手順で、Windows Memory Diagnosticを使ってメモリに問題がないか確認する方法を案内しています。

Microsoft:Windows doesn’t respond or stops working on Surface

注意:診断中は作業できません。事前に開いているファイルを保存してください。

Windowsメモリ診断でエラーが出たら

メモリ診断でハードウェアエラーが検出された場合は、メモリ本体、スロット、CPU側メモリコントローラー、設定などを切り分けます。

複数枚搭載している場合、修理現場では1枚ずつテストすると原因を絞り込みやすくなります。

ただし、メモリの抜き差しには分解が必要です。ノートPCや一体型PCでは、内部バッテリーの取り外しや分解手順が必要な機種があります。

メモリを1枚ずつ確認する方法

複数のメモリを搭載しているデスクトップPCなどで、分解作業に慣れている場合は、1枚ずつ起動・診断して切り分ける方法があります。

たとえばメモリA・Bの2枚がある場合は、次のように確認します。

  1. Aだけで起動・診断する
  2. Bだけで起動・診断する
  3. 同じメモリを別スロットでも確認する
結果例 疑う場所
Aだけでエラー、Bは正常 メモリA
どのメモリでも特定スロットだけ異常 スロット、マザーボード、CPU側
単体では正常、2枚同時だけ不安定 相性、速度設定、メモリ構成、BIOS/UEFI
どの組み合わせでも異常 メモリ以外も含めて確認

メモリを抜き差しするときの注意

メモリの接触不良で起動できない場合、差し直しで改善することがあります。

ただし、作業するときは必ず電源を完全に切ります。

  • Windowsをシャットダウンする
  • AC電源・電源ケーブルを外す
  • 取り外せるバッテリーがある場合は外す
  • 内部バッテリー式ノートはメーカー手順を確認する
  • 静電気に注意する
  • 切り欠きの向きを確認する
  • 端子部分を必要以上に触らない
  • 無理な力で押し込まない

メモリスロットの固定レバーや取り付け方向は機種によって異なります。

注意:一体型PCや薄型ノートは分解難易度が高い場合があります。無理に開けると筐体、ケーブル、液晶パネルを破損することがあるため、作業に不安があれば修理業者へ依頼してください。

XMP/EXPOを有効にしてから不安定になった場合

自作PCや一部のゲーミングPCでは、XMPやEXPOなどのメモリプロファイルを有効にすると、標準設定より高い速度で動作させることがあります。

設定後からブルースクリーン、再起動、ゲームクラッシュなどが始まった場合は、メモリ故障と決めつける前に、BIOS/UEFIでメモリ設定を標準状態へ戻して再確認します。

ただし、BIOS/UEFI設定の変更は起動に影響する可能性があります。現在の設定を記録してから変更してください。

メモリ交換だけで直らないケースもある

メモリ診断で異常が出る、メモリ関連の症状があるからといって、メモリモジュールそのものが必ず故障しているとは限りません。

次の部品も関係します。

  • マザーボードのメモリスロット
  • CPU内蔵のメモリコントローラー
  • CPUソケットの接触
  • BIOS/UEFI設定
  • 電源ユニット
  • マザーボードの電源回路

正常なメモリへ交換しても同じ症状が出る場合は、メモリ以外へ切り分けを広げます。

メモリ増設後に起動しなくなった場合

増設直後に画面が映らない、再起動を繰り返す、ブルースクリーンになる場合は、次の順番で確認します。

  1. パソコンの電源を完全に切る
  2. 増設したメモリの型番・DDR世代・形状を確認する
  3. メモリが最後まで正しく装着されているか確認する
  4. 増設前のメモリ構成へ戻す
  5. 元の構成で正常なら、増設メモリの互換性を再確認する
  6. 1枚ずつ確認する
  7. 必要に応じてメーカー診断を実行する

増設前の状態へ戻しても起動しなくなった場合は、作業中にメモリが浮いた、別のコネクターが外れた、静電気や物理破損が発生したなど、別の原因も確認します。

メモリ診断で異常なしでも故障を完全否定できない

短時間の診断でエラーが出なかったからといって、メモリ関連トラブルを完全に否定できるとは限りません。

温度、負荷、メモリ構成、特定スロット、XMP/EXPO設定など、条件がそろったときだけ不安定になるケースもあります。

診断で異常が出ないのに症状が続く場合は、1枚ずつの確認やメーカー診断、ほかの部品との切り分けも必要です。

やってはいけない対処

規格が違うメモリを無理に挿す

DDR世代や形状が違うメモリは使用できません。切り欠きが合わない場合は無理に押し込まないでください。

最大搭載容量を確認せず大容量メモリを購入する

認識しない、一部しか使えない、不安定になる可能性があります。メーカー仕様を先に確認してください。

増設直後の不具合でWindowsを初期化する

メモリ構成や相性が原因なら、Windows初期化では解決しません。まず増設前の構成へ戻します。

メモリ故障と決めつけて複数部品を一度に交換する

原因が分からなくなります。可能な限り1項目ずつ切り分けます。

BIOS/UEFIの電圧やタイミングをむやみに変更する

設定を誤ると起動不能や不安定化につながります。標準設定で安定するかを先に確認してください。

症状別の切り分け早見表

症状 最初に確認すること
増設後に起動しない 規格・装着状態・増設前構成へ戻す
ブルースクリーンがランダムに出る Windowsメモリ診断、増設履歴、1枚ずつ確認
完全フリーズする メモリだけでなくストレージ・GPU・電源・温度も確認
ファンだけ回り画面が映らない メモリ装着、診断LED、CPU・マザーボード・GPU
特定メモリスロットでだけ不安定 スロット・マザーボード・CPU側
XMP/EXPO有効後に不安定 標準設定へ戻して確認
搭載容量より少なく認識される 装着状態、スロット、互換性、BIOS/UEFI認識

修理を検討したほうがよいケース

  • Windowsメモリ診断でハードウェアエラーが出る
  • 1枚ずつ確認しても原因を特定できない
  • 特定のメモリスロットだけ認識しない
  • 正常なメモリへ交換しても同じ症状が出る
  • メモリ増設後からPOSTしなくなった
  • ブルースクリーンやフリーズが頻発する
  • ノートPCや一体型PCで分解が必要
  • 重要データがあり、強制終了を繰り返したくない

よくある質問

メモリ容量を増やせばパソコンは必ず速くなりますか?

必ずではありません。現在メモリ不足が発生している場合は改善しやすいですが、CPUやストレージなど別の部分がボトルネックなら効果は小さい場合があります。

DDR4とDDR5を一緒に使えますか?

基本的にできません。DDR世代間には互換性がなく、スロット形状も異なります。

ノートPC用メモリをデスクトップに使えますか?

一般的なノート用SO-DIMMとデスクトップ用DIMMは形状が異なるため、そのまま入れ替えることはできません。

メモリが壊れるとブルースクリーンになりますか?

発生することがあります。ただし、ブルースクリーンはドライバー、ストレージ、CPUなどさまざまな原因で発生するため、メモリ故障と断定はできません。

メモリ診断でエラーがなければ正常ですか?

診断で異常が出なかったことは有力な情報ですが、条件によってだけ発生する不具合を完全に否定できるわけではありません。症状が続く場合は1枚ずつの確認や他部品の切り分けも行います。

メモリを増設したらブルースクリーンが出るようになりました

まず増設前の構成へ戻して確認してください。元に戻すと安定する場合は、増設メモリの互換性、容量、速度、XMP/EXPO、スロット構成などを確認します。

まとめ

パソコンのメモリは、Windowsやアプリが使用するデータを一時的に保持する重要な部品です。

一般的にはデスクトップでDIMM、ノートでSO-DIMMが使われ、DDR3・DDR4・DDR5など世代の違うメモリには互換性がありません。

増設時は、形状やDDR世代だけでなく、最大搭載容量、1スロットあたりの容量、対応速度、ECC/Non-ECCなど、パソコン側の対応条件を確認してください。

メモリ故障では、画面が映らない、再起動を繰り返す、完全フリーズ、ブルースクリーン、画面乱れ、アプリのランダムエラーなど、さまざまな症状が発生することがあります。

ただし、これらの症状はメモリだけでなく、マザーボード、CPU、GPU、ストレージ、電源、ドライバーなどでも発生します。

安全な切り分けは、増設前の構成へ戻す → Windowsメモリ診断 → 1枚ずつ確認 → スロットを変えて確認 → 他部品へ切り分けるという順番で進めます。

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