[記事公開日]2026/08/17
[最終更新日]2026/08/19
異音がするHDDを何度も再起動してはいけない理由
HDDから「カチカチ」「カコン」「ガリガリ」など、普段と違う異音が聞こえると、「もう一度再起動すれば直るかもしれない」と何度も電源を入れ直したくなることがあります。
しかし、HDD内部の機械的な故障が疑われる状態では、再起動や電源の入れ直しを繰り返すほど、残っているデータを読み出せる機会を減らしてしまう可能性があります。
特に、仕事のデータ、家族写真、動画、会計データなど、失いたくないデータが入っている場合は、「原因を確かめること」より「これ以上HDDを動かさないこと」を優先した方が安全なケースがあります。
まず結論:強い異音が続くHDDは何度も再起動しない
HDDは内部で磁気ディスクを高速回転させ、ヘッドを移動させながらデータを読み書きする機械部品です。SSDと違い、物理的に動く部品が含まれています。
そのため、次のような症状がある場合は、単なるWindowsの不具合ではなくHDD自体の故障を疑います。
- 以前はしなかった大きな「カチカチ」「カコン」という音を繰り返す
- 「ガリガリ」「ゴリゴリ」のような擦れる音がする
- 異音と同時にWindowsの起動が極端に遅くなった
- HDDが認識されたり認識されなかったりする
- ファイルを開こうとすると固まる
- コピー中にCRCエラー、I/Oエラー、読み取りエラーが出る
- SMARTエラーや「Hard Disk Error」などの警告が出る
この状態で「起動できるか確認するため」に何度も再起動すると、そのたびにHDDの回転開始、ヘッドの初期化、読み取り処理が発生します。HDDが機械的に不安定な場合、余計な動作を繰り返すことはデータ保全の面で不利になります。
HDDの「クリック音」はすべて故障とは限らない
HDDは正常な状態でも、シーク動作やヘッド退避などによって小さな作動音が聞こえることがあります。したがって、クリック音が1回聞こえただけで故障と断定する必要はありません。
注意したいのは、これまでとは明らかに違う大きな音や、一定間隔で繰り返す強いクリック音、クランク音、擦れるような音です。
| 音・状態 | 考え方 | 推奨する対応 |
|---|---|---|
| 小さな作動音が時々する | 正常動作の可能性もある | 認識状態や動作の変化を確認する |
| 大きなカチカチ音を繰り返す | ヘッド・媒体・制御系などの物理障害を疑う | 不要な再起動をやめ、データ優先で判断する |
| ガリガリ・擦れるような音 | 重大な物理障害の可能性 | 電源を切り、重要データがあるなら専門業者を検討する |
| 異音+認識しない | 故障が進行している可能性 | 接続確認を何度も繰り返さない |
| 異音+コピー中にエラー | 読み取り不良を伴っている可能性 | 重要ファイルを優先し、無理な全コピーを続けない |
外付けHDDの場合は、USBケーブル、USBポート、電力不足などが原因で異常動作に見えることもあります。外付けHDD固有の確認方法はパソコンに接続すると外付けHDDから異音がするときの原因とチェックポイントも参考になります。
なぜ再起動を繰り返すのが危険なのか
1. 電源を入れるたびにHDDを再び動作させるから
パソコンを起動すると、HDDは回転を開始し、ヘッドの位置決めを行い、OSや各種ファイルを読み込みます。WindowsをHDDから起動しているパソコンでは、起動だけでも多数の読み取り処理が発生します。
HDD内部に機械的な問題がある場合、「1回だけ確認するつもり」の再起動でもHDDには追加の動作をさせることになります。
2. Windows起動後もバックグラウンドでアクセスが続くから
Windowsが起動できたとしても、HDDへのアクセスが止まるわけではありません。Windows Update、検索インデックス、セキュリティソフト、ログ記録、アプリの自動起動などによって読み書きが発生します。
そのため、異音が出ているHDDからWindowsを何度も起動して様子を見る方法は、データ救出を優先する状況では適していません。
3. 「まだ読める部分」を失う可能性があるから
故障したHDDは、「完全に読める」「完全に読めない」の二択ではありません。ある時点では一部のデータを読めても、状態が悪化すると同じ場所を読めなくなることがあります。
重要なのは、HDDが故障しかけている可能性があると分かった時点で、残っている読み出し機会を無駄な診断や再起動に使わないことです。
異音に気付いた直後の安全な対応
- まず不要な再起動をやめます。
- どのような音か、認識するか、エラーが出ているかをメモします。
- データの重要度を確認します。
- データが非常に重要なら、無理に自分で診断せず電源を切ります。
- 重要度が低く、HDDが安定して認識している場合だけ、必要なファイルから別の正常な媒体へコピーすることを検討します。
データ救出を優先すべき症状をまとめて確認したい場合は、データ救出を優先すべき症状まとめも確認してください。
データが必要なときに最初からやらない方がよい操作
異音がするHDDに重要データが入っている場合、次の操作は「とりあえず試す対処」として先に行わない方が安全です。
- 何度も再起動して認識するか試す
- 何度もUSBを抜き差しする
- CHKDSK /f や CHKDSK /r を実行する
- 長時間のディスク全面スキャンを実行する
- デフラグを実行する
- 初期化する
- フォーマットする
- 「修復しますか?」という表示にすぐ同意する
- 故障HDD自身へ復旧データを書き戻す
CHKDSKの/fはファイルシステムの論理エラーを修正する機能で、/rは不良セクタを探して読み取り可能な情報の回復も試みます。これらは正常なHDDの論理障害に有効な場合がありますが、物理故障が疑われ、データ保全を優先する場面では先に実行すべき処理ではありません。
特に「カチカチ音が続く」「途中でHDDが消える」「読み取りのたびに固まる」といった状態では、修復よりもデータをどう守るかを先に考えます。
自分でコピーしてよいケースと、停止した方がよいケース
| 状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 異音は一時的で、その後は安定して認識・読み取りできる | 重要ファイルから別媒体へコピーを検討 |
| コピー中に速度が極端に落ちる・固まる | 無理に全コピーせず停止を検討 |
| 強いクリック音を繰り返す | 電源を切り、重要データなら専門業者を検討 |
| ガリガリ・擦れる音がする | 原則として通電を続けない |
| 落下後に異音が出た | 物理障害を疑い、通電を繰り返さない |
| 何度か電源を入れないと認識しない | 再試行回数を増やさず、データ優先で判断 |
「読めるうちに全部コピーしよう」と長時間動かし続けることが、必ずしも最善とは限りません。重要データが少量なら、まず代替できないファイルから優先する考え方が重要です。
コピーする場合は「移動」ではなく「コピー」する
HDDが安定して読み取れており、自分でデータを退避すると判断した場合は、元データを削除する「移動」ではなく、元データを残したまま別媒体へ複製する「コピー」を使います。
また、復旧先や退避先は故障が疑われるHDDとは別の正常なストレージを使用してください。故障HDDへ新しいデータを書き込んだり、復旧ファイルを保存したりしないでください。
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データを別媒体へ退避する場合の保存先候補:
-
外付けSSD 1TB:
Amazonで検索 /
Yahoo!ショッピングで検索
※上記は故障HDDを「修復するため」の製品ではなく、HDDが安定して読み取れる場合にデータを別媒体へ退避するための候補です。保存容量は退避するデータ量に合わせて選んでください。
内蔵HDDから異音がする場合
Windowsが入っている内蔵HDDから異音がする場合は、起動するたびにOSがHDDへアクセスします。そのため、データが重要なら、何度もWindowsを起動して確認するより電源を切る方が安全です。
PCからHDDを取り外して別のPCへ接続する方法もありますが、分解が必要な機種では破損や感電、保証への影響などに注意が必要です。また、BitLockerなどで暗号化されている場合は回復キーが必要になることがあります。
データが非常に重要な場合や分解経験がない場合は、無理にHDDを取り外さず、PC本体ごと専門業者へ相談する方法も検討してください。
外付けHDDから異音がする場合
外付けHDDでは、HDD本体だけでなくUSBケーブル、USB-SATA変換基板、ACアダプター、USB給電不足などが関係する場合もあります。
ただし、強いクリック音や擦れる音が出ている場合に、USBポートやパソコンを何台も変えながら何度も通電確認するのは避けます。確認は最小限にしてください。
外部電源式のHDDでは、必ず本来の仕様に合うACアダプターを使用します。電圧や極性、コネクタが異なるACアダプターを「差さるから」という理由だけで流用してはいけません。
SMART警告が出ている場合
「SMART Failure predicted on」「SMART Hard Disk Error」などの警告が出ている場合は、HDDが故障の兆候を検出している可能性があります。
この場合も、何度も再起動して警告が消えるか確認することより、必要なデータを確保できるかを優先します。警告が一度消えたとしても、HDDが正常に戻ったとは限りません。
異音があるHDDを冷凍庫に入れる方法は使わない
インターネット上では「HDDを冷やす」「冷凍庫に入れる」といった古い情報が見つかることがありますが、推奨できません。
急激な温度変化による結露や水分の付着など、別の故障要因を増やす可能性があります。重要データがあるHDDで試すべき方法ではありません。
HDDを叩く・振る・傾けるのも避ける
異音が一時的に変わることがあっても、HDDを叩いたり振ったりする方法は内部の精密部品に追加のダメージを与える可能性があります。
特に電源が入っているHDDは内部のディスクが高速回転しています。動作中に大きく動かしたり衝撃を与えたりしないでください。
専門のデータ復旧を検討した方がよい症状
- カチカチ・カコンという大きな音を一定間隔で繰り返す
- ガリガリ、擦れるような異音がする
- 落下・衝撃の直後から認識しなくなった
- 重要データが1か所にしか保存されていない
- BIOSやWindowsからほとんど認識されない
- 認識しても短時間で切断される
- コピーするたびに状態が悪くなっている
- 業務データなど、失った場合の影響が大きい
データ復旧は、試行錯誤を重ねた後より、余計な操作をする前の方が選択肢を残しやすいケースがあります。データの価値が高い場合は、修理費用だけでなく「失った場合の影響」で判断してください。
よくある質問
一度再起動してしまいました。もう復旧できませんか?
一度再起動しただけで復旧不能になるとは限りません。重要なのは、異音が続いていることに気付いた後に不要な再起動を繰り返さないことです。
異音がしていてもWindowsが起動できれば大丈夫ですか?
起動できることとHDDが正常であることは別です。異音、フリーズ、読み取りエラー、SMART警告などがある場合は、起動できているうちにデータ保全を優先してください。
CHKDSKを実行すれば直りますか?
CHKDSKはファイルシステムの論理エラーを確認・修復するための機能です。機械的に故障したHDDそのものを修理する機能ではありません。物理故障が疑われ、データが重要な場合は、CHKDSKより先にデータ保全を考えます。
HDDをSSDへクローンすれば安全ですか?
HDDが安定して読み取れる軽度の障害ではクローンが有効なこともありますが、強い異音、繰り返す切断、著しい読み取りエラーがある状態では、クローン処理自体が長時間の読み取り負荷になります。重要データがある場合は、無理に一般的なクローンソフトを実行せず専門家へ相談する方が安全です。
異音が止まったので、そのまま使い続けてもよいですか?
一時的に音が止まっても、異常が解消したとは限りません。必要なデータをバックアップし、HDDの交換を前提に考える方が安全です。
まとめ
異音がするHDDで最も避けたいのは、「直るかもしれない」という理由だけで何度も再起動や通電を繰り返すことです。
小さな作動音は正常な場合もありますが、大きなクリック音、クランク音、擦れる音、認識不良、読み取りエラーなどが同時に発生している場合は、物理故障を疑ってください。
データが重要なら、修復や診断よりデータ保全を優先します。安定して読み取れる場合だけ必要なファイルから別媒体へコピーし、強い異音や認識不良がある場合は電源を切って専門業者への相談を検討してください。
