[記事公開日]2023/05/30
[最終更新日]2025/11/14
⚠️ 「Hard Disk S.M.A.R.T. Status Bad, Backup and Replace」の原因と対処法
もくじ
はじめに
パソコンの電源を入れた直後に「Hard Disk S.M.A.R.T. Status Bad, Backup and Replace」や「S.M.A.R.T. Status BAD – Backup and Replace」と表示される場合、それはハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)のS.M.A.R.T.(自己診断機能)によって、重大な障害や故障の兆候が検出されたことを意味します。
この警告は、近い将来ストレージが完全に故障し、データにアクセスできなくなるリスクが非常に高いという、システムからの“最後の警告”です。現時点でOSが起動できていたとしても、いつデータにアクセスできなくなるか分からないため、迅速かつ慎重な対応が必要です。
この記事では、S.M.A.R.T.の基本情報から、代表的なエラー項目、バックアップ・交換手順、放置によるリスクまで徹底的に解説します。
🛠 主な原因と対処法
1️⃣ S.M.A.R.T.とは何か?
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**S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)**は、ストレージ(HDD/SSD)に内蔵された自己診断機能です。
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ドライブの使用状態、物理的な異常、温度変化、エラーの発生回数など多数のパラメータを常に監視しており、これらの値に異常があるとBIOSや診断ツールを通じてユーザーに警告を表示します。
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「S.M.A.R.T.エラー」は、その統計的判断に基づいて「このドライブは近いうちに致命的な故障を起こす可能性が高い」と警告している状態です。
2️⃣ よく見られるS.M.A.R.T.異常項目
以下の項目は、エラーを引き起こす代表的な指標です:
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Reallocated Sectors Count(代替処理済セクタ数)
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不良セクタが発見された際、自動的に予備の正常セクタに置き換える処理の回数
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数値が上昇している場合、物理障害が進行している可能性がある
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Current Pending Sector Count(保留中セクタ数)
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読み取りに失敗したが代替処理されていないセクタ数
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データ喪失・アクセス不能の前兆
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Uncorrectable Sector Count(修復不可能セクタ数)
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完全に読み書き不能なセクタの累積数
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データが失われている可能性が高い
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Spin Retry Count(スピン再試行回数)
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HDDのディスクが回転しなかった際の再試行回数。物理的故障の可能性
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Power-On Hours(通電時間)
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ドライブが稼働していた累積時間。数万時間を超えると寿命に近づいている指標とされる
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Temperature(温度)
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高温状態が続くと寿命が縮まり、基板やモーターへのダメージが増す
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3️⃣ エラー発生時の最優先対応:バックアップ
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最も重要なのは、今すぐデータを退避することです。
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OSが正常に起動する場合:
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可能な限り早く外付けHDD・NAS・クラウドなどにデータをコピー
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重要フォルダ(ドキュメント、ピクチャ、デスクトップなど)を優先
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OSが起動しない場合:
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ストレージを取り外して他のPCに接続(SATA接続やUSBアダプタなどを使用)
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データ復旧ソフト(例:Recuva、EaseUS、R-Studio)を利用する
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症状が重い場合はデータ復旧業者への依頼も検討(費用は高額なため重要データのみ)
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4️⃣ ストレージの交換と再構築
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バックアップが完了したら、速やかにストレージを交換します。
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新品のHDDやSSDに交換し、以下いずれかの手順で復旧:
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OSのクリーンインストール:再セットアップメディアを使ってWindowsを新規インストール
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クローン作成:クローンソフト(例:Macrium Reflect、AOMEI Backupper)で、異常ドライブから新ドライブへ複製(読み取りエラーが少ない場合のみ)
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リカバリ領域からの復元:メーカー製PCの場合、リカバリメディアを使用して初期状態に戻す
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5️⃣ エラーを無視して使い続けるリスク
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警告が出ている状態のドライブは、常にクラッシュのリスクを抱えています。
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放置した場合:
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OSが起動しなくなる(BOOTMGRエラー、ブルースクリーンなど)
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ファイルが突然消える、読み取り不能になる
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最悪、通電しただけでドライブが完全に停止する
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BIOSでS.M.A.R.T.チェックを無効にすれば起動は可能ですが、これは一時しのぎにすぎず根本的な解決にはなりません。
⚠️ 注意点
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S.M.A.R.T.警告が出ているドライブに対して大容量の読み書きを行うと、状況が急速に悪化することがあります。
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データコピーやクローンは、優先順位をつけて段階的に実行(例:重要な文書 → 写真 → 音楽など)
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バックアップ先のメディアにも十分な空き容量と信頼性があるかを確認してから作業を開始
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データ復旧ソフト使用時は、誤操作による上書きに要注意です
✅ まとめ
| 💡 チェックポイント | 🔧 推奨される対応方法 |
|---|---|
| S.M.A.R.T.エラーの内容確認 | CrystalDiskInfoなどで異常項目の詳細を確認 |
| データの早急なバックアップ | OSが動作するうちに退避、起動不可なら別PCやUSB変換で救出 |
| ストレージ交換と再構築 | クローンまたはクリーンインストールで安全な環境に再構築 |
| エラー無視せず対応 | BIOSでエラー無効化しても、必ず交換を前提とする |
| 予防策:S.M.A.R.T.監視の習慣化 | 定期的にディスク監視ツールで状態チェックし、異常を早期発見 |
📝 最後に
「S.M.A.R.T. Status Bad」のエラーは、見逃してはいけない非常に深刻な警告です。この時点で既にドライブ内部では異常が進行しており、データ喪失まで残された時間はごくわずかです。
パソコンが起動できるなら“今すぐに”バックアップを取り、早急に交換作業を進めてください。トラブルを未然に防ぐためにも、日頃からS.M.A.R.T.のチェックを行い、ストレージの健康状態を可視化しておくことが大切です。
➡️ 関連リンク
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「CrystalDiskInfoの使い方と見方」
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「HDDとSSDの違いと交換手順」
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「クローンソフトでOSごと移行する方法」
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「データ復旧業者を利用すべきケースと注意点」
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「パソコン初心者のためのバックアップ入門」
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