落下や破損したHDDからデータを復旧する方法と注意点｜31-06. 電源・ハードウェア関連パソコントラブル解決大事典

［登録されているタグ］

［記事公開日］2025/06/18

落下や破損したHDDからデータを復旧する方法と注意点

はじめに

外付けHDDを不注意で床に落としてしまった、あるいは衝撃を加えてしまった経験はありませんか？

落下や破損によるHDDトラブルは珍しくなく、その多くが物理障害につながる可能性があります。HDDは非常に繊細な構造を持つ精密機器であり、内部には高速で回転するディスクと、磁気ヘッドという極めて精密な部品が使用されています。たった一度の落下でも、それらの部品に致命的なダメージを与えてしまうことがあります。

しかし、「もうダメかもしれない」と諦める前に、正しい知識と適切な手順を知っておくことで、貴重なデータを救出できる可能性は十分にあります。

この記事では、落下や破損によって損傷したHDDからデータを復旧するための方法と、その際に絶対に注意すべきポイントについて、できる限り詳しく・長文で解説していきます。

🛠 よくある症状（落下直後のHDDの異常）

接続してもHDDが認識されない
通電しても回転音がしない、または異音がする
「ドライブをフォーマットする必要があります」と表示される
ファイルやフォルダが消えている、開けない
デバイスマネージャーでは表示されるが、エクスプローラーでは表示されない
アクセスしようとするとフリーズやブルースクリーンになる

これらの症状がある場合、HDD内部の部品に損傷が及んでいる可能性が高くなります。特に異音がする場合は、物理的な破損（ヘッドクラッシュ等）のリスクが極めて高いため、慎重に対応する必要があります。

1️⃣ 💣 落下によるHDD破損の原因と種類

① ヘッドクラッシュ（最も多い）

HDDの読み取り・書き込みを担う磁気ヘッドが、落下の衝撃でプラッタ（データが記録されている円盤）に接触・擦過し、傷をつけてしまう現象です。これにより読み取り不能となり、HDDが「カチカチ」「カコンカコン」などの異音を発するようになります。

② モーター損傷・回転機構の異常

衝撃によって回転軸がずれたり、モーター自体が損傷を受けることがあります。その結果、HDDが正常にスピンアップできず、電源を入れても動作しない・異音がするという状態になります。

③ 制御基板（PCB）の破損

HDDの制御を担う基板部分が物理的にひび割れたり、部品が外れたりすることで、信号のやりとりができなくなります。この状態ではパソコン上で全く認識されなくなります。

④ ファイルシステムの破損

物理的な問題に加えて、ファイルの管理情報（ファイルシステム）が破損することで、データの配置情報が失われ、読み取りができなくなることもあります。

🚨 放置・誤操作によるリスク

落下後のHDDに対して誤った対応をしてしまうと、取り返しのつかない状況に陥る可能性があります。

誤操作	想定されるリスク	備考
通電を繰り返す	ヘッドやプラッタの損傷が進行	一度の通電で悪化する可能性も
自分で分解する	ホコリ・静電気でデータ完全消失	クリーンルームが必要な作業
フリーソフトで復旧を試みる	書き込みが発生し、上書きの恐れ	論理障害なら有効だが物理障害には不向き

✅ データ復旧の具体的な手順

🧭【ステップ1】状態確認と通電の有無

異音がする・HDDが回らない → 通電をやめて保存（物理障害）
異音なし・回転音あり → ファイルシステムの破損等の論理障害の可能性あり
デバイスマネージャー／ディスクの管理でHDDがどう認識されているかを確認

🧰【ステップ2】クローン作成の検討（論理障害向け）

HDDが一時的にでも認識されるなら、専用ソフトでクローンを作成
HDD Raw Copy Toolやddrescueなどのソフトが有効
クローン先は同容量以上のHDDを用意し、復旧作業はクローン側で実施

🖥【ステップ3】復旧ソフトでのファイル救出

EaseUS、Recoverit、Recuvaなどのツールでスキャン
「復元先」は必ず別のストレージに設定すること（上書き防止）

⚠【ステップ4】物理障害が疑われる場合の対応

異音が止まらない、回転しない、重度な落下などの場合
通電を即中止し、HDDは静電防止袋に入れて保管
クリーンルームを持つ専門業者への依頼を検討（分解復旧）

📦【ステップ5】復旧後のデータ保全

別のHDDやクラウドに二重バックアップ
復旧元のHDDは再使用しない（再故障リスクが高いため）

🧾 手順・対策まとめ表

ステップ	内容	ポイント
1	異音・認識状況の確認	通電有無・音の種類に注意
2	クローン作成	元HDDへの負荷軽減、安全確保
3	復旧ソフト使用	上書きしないように別ストレージへ
4	物理障害は通電停止	分解は専門業者のみ対応可能
5	復旧後バックアップ	同じHDDは再利用NG

🔹 関連リンク

🔹 外付けHDDが異常に熱くなる場合の原因と対処法は？
🔹 外付けHDDが回転音や異音を発する場合、何を確認すればよいですか？
🔹 HDDケースを交換しても認識されない場合の対処方法は？
🔹 物理的に破損したHDDからデータを復旧する方法はありますか？

🗂 同カテゴリ記事リスト

✉️ 最後にひとこと

HDDの落下や衝撃は、一瞬で取り返しのつかない状況を生む可能性があります。

しかし、正しい対応をとれば、データを救出できる望みは残されています。

異音や認識不良に気づいたときは、焦って通電を繰り返さず、まずは状態を冷静に確認し、最適な復旧ルートを見極めることが大切です。

大切なデータを守るためにも、「無理をしない・分解しない・慎重に判断する」ことを心がけましょう。

パソコンで困ったとき、役立つ情報を公開（当サイトにはアフィリエイト広告を含む場合があります。リンクから商品を購入されると、運営者に報酬が発生することがあります。）

パソコントラブル解決大事典