[記事公開日]2025/10/05
[最終更新日]2025/10/13
💡このような症状が出たらGPU(グラフィックボード)故障のサイン!原因と確認方法を詳しく解説
もくじ
はじめに
3Dゲーム、動画編集、AI処理など、グラフィック負荷の高い作業中に「画面が固まる」「ノイズが出る」「映像が出なくなる」といったトラブルが発生した場合、GPU(グラフィックボード)本体の故障が疑われます。GPUは画像・映像を描画する心臓部であり、故障すれば画面出力そのものができなくなることもあります。
この記事では、GPUが故障したときの代表的な症状、主な原因、確認手順、修理・交換の目安を詳しく解説します。実際の修理現場で多く見られる事例も交えながら、初心者でもトラブルの切り分けができるようにまとめました。
🛠 よくある症状
GPUの不具合は、映像出力に直結するため、症状が明確に現れやすい特徴があります。以下は代表的なものです。
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 🖥 画面が映らない | 電源は入るが出力信号がない。GPU自体が認識されていない可能性 |
| 🌈 ノイズ・線・ブロック表示 | 映像出力回路やVRAMの不具合。温度上昇でも発生する |
| ⚠️ 起動直後にフリーズ・ブルースクリーン | GPUドライバエラー、もしくはハード的な故障 |
| 🔥 高負荷時に強制終了・ブラックアウト | 過熱、電源供給不足、もしくはGPUチップ劣化 |
| 💨 ファンが回転しても映像が出ない | ファン制御回路は生きていても映像出力が途絶えているケース |
| 🔁 ドライバを入れると起動しない | GPUのVRAMまたは制御ICが破損している可能性 |
💡補足:CPU内蔵グラフィックで映像が出る場合は、GPU(グラボ)単体の故障が確定的です。
🔍 故障の主な原因
① 熱によるチップやVRAMの劣化
GPUは長時間高温状態が続くと、BGA(半田ボール)部分の接合が劣化し、接触不良を起こします。熱膨張と収縮を繰り返すことで、はんだクラック(微細なヒビ)が発生します。
② 電源供給トラブル(補助電源・VRM回路)
電源ユニットからの供給不足や、グラボ上の電圧レギュレータ(VRM)不良によって電流が不安定になると、GPUチップやVRAMが異常動作を起こします。
③ ファン・冷却システムの不良
冷却ファンやヒートシンクにホコリが詰まり、熱がこもることでチップ温度が100℃近くに達することもあります。長期的には寿命を著しく縮めます。
④ 落下・物理衝撃による破損
グラボの基板は精密であり、落下や強い振動で内部の半田やコンデンサが損傷します。取り付け・清掃中の衝撃も注意が必要です。
⑤ 静電気・湿気・経年劣化
静電気放電(ESD)や湿気による腐食、コンデンサの液漏れなどが徐々に回路を劣化させます。特に梅雨時期や結露環境での使用はリスクがあります。
⚠ 放置した場合のリスク
| 放置状態 | 想定リスク | 備考 |
|---|---|---|
| ノイズやフリーズを放置 | GPUチップの完全焼損 | 初期段階で修理可能でも、放置で基板ごと破損 |
| 過熱状態を放置 | VRAM・コンデンサの劣化加速 | 冷却システム全体がダメージを受ける |
| 映像出力不良を放置 | マザーボードのPCIeスロット損傷 | 電気的短絡で二次被害発生 |
GPUのトラブルは進行性が高く、「一時的に映る」状態でも内部の劣化は進んでいます。早めの対応が重要です。
✅ 確認・診断方法
STEP1:外部出力の確認
GPUを接続した状態で外部モニターに映像が出るかを確認します。別のケーブル・ポート(HDMI/DisplayPort)でも試してみましょう。
STEP2:内蔵グラフィックとの切り分け
CPUに内蔵GPUがある場合、BIOS設定でオンボード出力に切り替えて起動します。オンボードで正常に映る場合、GPUカードの不良が確定です。
STEP3:温度・回転数の確認
「GPU-Z」「MSI Afterburner」などを使用して温度・電圧・ファン回転数をモニタリングします。異常値(温度が上がらない/回転数0/電圧0.0Vなど)は動作不良のサインです。
STEP4:ドライバの入れ替え
Display Driver Uninstaller(DDU)を使用してドライバを完全削除後、公式サイトから最新ドライバを再インストールします。ソフト的な競合も除外しましょう。
STEP5:別PCでの動作テスト
別のPCにGPUを挿して起動を確認します。映像が出ない場合、GPU本体の故障確定です。逆に動作するなら、マザーボードや電源側の不具合が疑われます。
🧰 修理・交換方法
| 状況 | 対処法 | 難易度 |
|---|---|---|
| ホコリ詰まり・冷却不良 | 清掃・グリス塗り直し | ★☆☆ |
| ファン停止 | ファンユニット交換 | ★★☆ |
| 熱劣化・はんだクラック | リフロー(再加熱修復) | ★★★ |
| 映像出力回路破損 | 修理困難・交換推奨 | ★★★ |
| VRAM故障 | 基板修理またはグラボ交換 | ★★★ |
🔧 補足:リフローはヒートガンなどで基板を加熱して半田を再融着させる応急処置ですが、再発リスクが高く長期安定は期待できません。本格修理が必要な場合は専門業者への依頼が推奨されます。
📋 まとめ表
| 内容 | 要点まとめ |
|---|---|
| 主な症状 | 映らない・ノイズ・フリーズ・高温停止 |
| 主な原因 | 熱劣化・電源不良・VRAM損傷・物理破損 |
| 確認方法 | 外部モニター・温度監視・内蔵GPU切替 |
| 対処法 | 冷却改善・ドライバ再構築・グラボ交換 |
| 放置リスク | GPU焼損・PCIe破損・映像出力不能 |
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GPUはPCパーツの中でも特に高負荷・高温環境で動作するため、わずかな冷却不足や電力異常でもダメージを受けやすい部品です。「映像が乱れる」「ゲーム中に落ちる」といった初期症状のうちに点検を行い、必要であれば交換・修理を検討しましょう。早めの対応が、グラフィック性能とPC寿命を守る最大のポイントです。
