[記事公開日]2025/10/05
[最終更新日]2025/10/08
🌐 tracertコマンドの使い方|通信経路を追跡してネットワークトラブルを特定する方法
もくじ
はじめに
インターネットが遅い、特定のサイトに接続できない、どこで通信が止まっているのか分からない…。そんなときに役立つのが「tracert」コマンドです。
tracertは「Trace Route(経路追跡)」の略で、パケットが目的地に届くまでに通過するルーター(経路)を順番に表示することができます。これにより、通信が正常に流れているのか、途中で障害が発生しているのかを特定する手がかりになります。
この記事では、tracertコマンドの基本的な使い方、出力の読み方、トラブルシューティングでの活用方法を丁寧に解説します。
🛠 tracertコマンドとは?
tracertは、ICMPパケットを使って目的地までの通信経路を追跡するコマンドです。
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表示される内容:中継するルーターやサーバーのアドレス、応答時間(ms)
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目的:どの区間で遅延や障害が起きているかを把握する
例えるなら「荷物が自宅から目的地に届くまでに、どの中継所を通っているか」を見せてくれるツールです。
📌 基本的な使い方
実行手順
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スタートメニューで「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを開きます。
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以下のように入力します。
tracert yahoo.co.jp -
実行すると、目的地に到達するまでの経路が表示されます。
出力例
tracing route to yahoo.co.jp [182.22.59.229]
over a maximum of 30 hops:
1 <1 ms <1 ms <1 ms 192.168.1.1
2 5 ms 4 ms 4 ms 100.64.0.1
3 20 ms 18 ms 19 ms 203.0.113.1
4 25 ms 23 ms 24 ms 182.22.59.229
Trace complete.
出力の見方
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1行目:自宅ルーター(192.168.1.1)
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2行目以降:プロバイダーや中継サーバー
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最後の行:目的のサーバー
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time=〇ms:応答時間(数値が大きいほど遅い)
🔍 よく使うオプション
1. 最大ホップ数を指定 /h
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経路の追跡回数を指定(デフォルトは30)
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例:
tracert /h 20 google.com
2. タイムアウト時間を指定 /w
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応答を待つ時間を変更(ミリ秒単位)
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例:
tracert /w 5000 google.com
3. IPアドレスを直接指定
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DNS解決を通さずに経路を確認
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例:
tracert 8.8.8.8
4. ヘルプ表示 /?
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利用できるオプションを一覧表示
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例:
tracert /?
📚 活用シーン
インターネットが遅いとき
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確認方法:各ホップの応答時間を確認
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解釈:特定の中継点だけ異常に遅い場合、その区間に問題がある可能性
サイトに接続できないとき
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確認方法:目的地に到達する前に「要求がタイムアウトしました」と表示されるか確認
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解釈:タイムアウトした地点が障害箇所の可能性
海外サイトへの接続確認
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利用例:海外サーバーにアクセスが遅い場合、どこで遅延しているかを可視化
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解釈:国内で遅いのか、国際回線で遅いのかを切り分け可能
⚠️ 注意点
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一部のルーターやサーバーはICMPパケットへの応答を無効化している場合があり、必ずしも障害とは限りません。
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経路が複雑な場合、すべての中継点が表示されるとは限りません。
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セキュリティ上の理由から、企業ネットワークでは使用が制限されることもあります。
📊 まとめ表
| コマンド | 用途 | 主な活用シーン |
|---|---|---|
| tracert ホスト名 | 経路追跡 | サイト接続不可時の切り分け |
| tracert IPアドレス | IP直指定で経路追跡 | DNS不具合切り分け |
| tracert /h 数値 | 最大ホップ数指定 | 経路調査範囲を調整 |
| tracert /w 数値 | 応答待ち時間指定 | 回線遅延時の確認 |
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さいごに
「tracert」コマンドは、通信経路を可視化することでトラブルの原因を特定する強力なツールです。特定の地点で遅延や遮断があるかどうかを判断できるため、ネットワーク障害の切り分けに欠かせません。
pingと組み合わせて利用することで、さらに正確に問題の所在を特定できます。ぜひ日常的なトラブルシューティングに活用してみてください。
