[記事公開日]2025/10/05
[最終更新日]2025/10/06
🌐 pathpingコマンドの使い方|経路遅延とパケットロスを詳細に測定する方法
もくじ
はじめに
ネットワークが遅い、特定のサイトにだけ接続できない、動画やオンラインゲームでラグが発生する――そんなときに原因を突き止めるための強力な診断ツールが「pathping」コマンドです。
「ping」と「tracert」の機能を組み合わせたコマンドで、経路上の各中継ポイント(ルーター)ごとの遅延やパケットロス率を計測できるのが特徴です。この記事では、pathpingコマンドの基本的な使い方から出力の読み方、実際の活用シーンまで詳しく解説します。
🛠 pathpingコマンドとは?
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役割:宛先までの経路を調べつつ、各ルーターでの遅延・パケットロスを測定
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特徴:pingの応答速度とtracertの経路調査を融合
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用途:ネットワーク遅延や通信障害の原因切り分け
📌 基本的な使い方
書式
pathping 宛先ホスト名またはIP
例:Googleへの経路診断
pathping www.google.com
実行の流れ
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宛先までの経路をtracertのように追跡
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各中継ルーターに対して一定時間pingを送信
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遅延(RTT)やパケットロス率を統計的に算出
📊 出力例と読み方
Tracing route to www.google.com [172.217.161.132]
over a maximum of 30 hops:
1 <1 ms <1 ms <1 ms 192.168.1.1
2 10 ms 12 ms 11 ms 10.0.0.1
3 25 ms 26 ms 24 ms 203.0.113.1
4 30 ms 31 ms 29 ms 172.217.161.132
Computing statistics for 100 seconds...
Hop RTT Lost/Sent = Pct Address
1 <1ms 0/100 = 0% 192.168.1.1
2 11ms 0/100 = 0% 10.0.0.1
3 25ms 5/100 = 5% 203.0.113.1
4 30ms 0/100 = 0% 172.217.161.132
解釈
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Hop:経路上の中継番号
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RTT:平均応答時間(ms)
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Lost/Sent:送信数に対して失われたパケット数
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Pct:パケットロス率
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Address:中継ルーターのアドレス
例では「Hop3(203.0.113.1)」で5%のパケットロスが発生しており、ネットワーク遅延の原因がこの中継ルーターにある可能性が高いことが分かります。
🔍 よく使うオプション
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-n: 名前解決を行わずIPアドレスのみ表示(高速化) -
-h 数値: 最大ホップ数を指定 -
-q 数値: 各ホップに送信するパケット数を指定
例:名前解決なしで診断
pathping -n www.google.com
📚 活用シーン
インターネットが遅いとき
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利用例:特定の区間で遅延が発生していないか確認
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解釈:ローカルルーターかプロバイダー側かを切り分け
VPN接続が不安定なとき
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利用例:VPNゲートウェイまでの経路を測定
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解釈:VPNサーバー側の負荷か途中の経路かを判断
オンラインゲームや動画配信のラグ調査
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利用例:ゲームサーバーや配信サーバーへの遅延を確認
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解釈:自宅回線の問題か中継ネットワークの問題かを特定
⚠️ 注意点
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測定には時間がかかる(100秒程度)ため即時の診断には向かない
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ICMPをブロックしているルーターでは応答が返らず「*」表示になる
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公開サーバーへの頻繁な利用は迷惑となる可能性があるため注意
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出力結果の解釈にはネットワーク知識が必要
📊 まとめ表
| コマンド | 用途 | 主な活用シーン |
|---|---|---|
| pathping ホスト名/IP | 経路遅延・ロス測定 | インターネット遅延確認 |
| pathping -n ホスト名/IP | 名前解決なしで高速化 | 詳細な診断 |
| pathping -h 数値 | 最大ホップ数指定 | 経路が長い場合 |
| pathping -q 数値 | パケット数指定 | 測定精度調整 |
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さいごに
「pathping」コマンドは、pingやtracertでは分からない経路ごとの遅延やパケットロスを数値で可視化できる強力な診断ツールです。インターネット回線の不調やVPNの不安定さを調べる際に非常に有効です。
ネットワーク障害の切り分けや原因特定に役立つため、管理者だけでなく一般ユーザーもぜひ習得しておきたいコマンドのひとつです。
