[記事公開日]2026/08/17
[最終更新日]2026/08/19
BitLockerを一時停止するべき作業と再開を忘れた場合の確認方法
BitLockerが有効なパソコンでBIOS/UEFIの更新、TPM関連の作業、Secure Bootの設定変更などを行うと、次回起動時にBitLocker回復キーを求められることがあります。こうした作業の前にBitLockerの保護を一時停止しておくことで、構成変更を正常な変更として受け入れやすくなり、意図しない回復画面を避けられる場合があります。
ただし、BitLockerの一時停止とBitLockerの解除(暗号化をオフにすること)は別の操作です。一時停止ではドライブ自体の暗号化は維持されます。BIOS更新などのためだけに、時間のかかる復号まで行う必要は通常ありません。
この記事では、BitLockerを一時停止したほうがよい作業、逆に通常は一時停止しなくてよい更新、一時停止する前に確認すること、作業後に再開を忘れた場合の確認方法を順番に解説します。
最初に確認:BitLockerを一時停止する目的
BitLockerは、TPMや起動時の構成情報を利用して「いつもの安全な起動状態か」を確認します。ところが、BIOS/UEFI、TPM、Secure Bootなどに変更が加わると、正常なメンテナンスであっても起動環境が変わったと判断されることがあります。
その結果、BitLockerが自動でドライブを解除できず、48桁の回復キーを要求することがあります。
BitLockerの一時停止は、こうした予定された構成変更を行う際に、BitLockerのキー保護機能を一時的に無効化する操作です。暗号化されたデータを復号する操作ではありません。
重要:BitLockerを一時停止している間は保護が弱くなります。必要な作業が終わったら、保護が再開されていることを必ず確認してください。
BitLockerを一時停止したほうがよい主な作業
すべての更新で一時停止が必要なわけではありません。Microsoftの案内では、Microsoftから通常のWindows Updateとして配信される品質更新や機能更新では、ユーザーがBitLockerを一時停止する必要は原則ありません。
一方、次のような作業ではBitLockerの一時停止が必要になることがあります。
| 作業 | 一時停止の考え方 |
|---|---|
| PCメーカー提供のBIOS/UEFIアップデート | メーカーの手順にBitLocker一時停止の指示がある場合は必ず従います。手動更新では回復画面対策として事前確認が重要です。 |
| TPMファームウェア更新 | TPMの内容を変更・クリアする方式では必要になる場合があります。更新ツールの説明を確認してください。 |
| Secure Boot関連の設定変更 | Secure Bootの有効/無効切り替えやデータベース変更では、BitLockerが起動環境の変化を検出する可能性があります。 |
| UEFI/BIOS設定を変更するメンテナンス | 起動方式やセキュリティ設定へ影響する変更では、一時停止を検討します。 |
| 一部の非Microsoft製ファームウェア更新 | 更新内容がTPMやUEFIの測定値へ影響する場合があります。メーカーの更新手順を優先してください。 |
特にBIOS更新後に回復キーを求められる理由については、BIOS更新後にBitLocker回復キーを求められる理由と安全な対処法も参考にしてください。
通常のWindows Updateでは原則として一時停止不要
Windows Updateを実行するたびにBitLockerを手動で一時停止する必要はありません。Microsoftの品質更新や機能更新はBitLockerを考慮して処理されるため、通常はそのまま更新できます。
「Windows Updateをするから毎回BitLockerをオフにする」という運用はおすすめしません。保護が無効な時間を増やすだけでなく、再開忘れの原因になります。
ただし、Windows Updateとは別にPCメーカーのBIOS更新ツールが動作する場合や、メーカーの更新手順でBitLockerの一時停止を求められた場合は、その指示を優先してください。
一時停止する前に回復キーを確認しておく
BitLockerを一時停止する予定でも、BIOS/UEFIやTPMを変更する前には回復キーを確認しておくことをおすすめします。更新に失敗した場合や予期しない構成変更が発生した場合、回復キーが必要になる可能性があるためです。
個人のMicrosoftアカウントに保存されている場合、別のスマートフォンやパソコンから回復キーを確認できるようにしておくと安心です。会社や学校のPCでは、組織のMicrosoft Entra IDやActive Directory側で管理されている場合があります。
回復キーの確認方法は、BitLockerの回復キーを確認する方法まとめで詳しく解説しています。
回復キーが確認できない状態で、TPMの初期化、Secure Bootの大きな変更、BIOS設定の初期化などを安易に行わないでください。Windowsが起動できなくなった場合に、保存データへアクセスできなくなるおそれがあります。
BitLockerを一時停止する方法
方法1:コントロールパネルから一時停止する
一般ユーザーには、コントロールパネルから操作する方法が分かりやすいです。
- スタートメニューの検索で「コントロール パネル」を開きます。
- 「システムとセキュリティ」を開きます。
- 「BitLocker ドライブ暗号化」を開きます。
- OSが入っているドライブの「保護の中断」または「保護の一時停止」を選びます。
- 確認画面が表示されたら内容を確認して実行します。
表示名はWindowsのバージョンや画面によって多少異なることがあります。
方法2:コマンドで一時停止する
管理者権限のコマンドプロンプトでは、次のようにBitLockerの保護を一時停止できます。
manage-bde -protectors -disable C:
このコマンドで-rebootcountを指定しない場合、BitLocker保護は通常、次回Windowsを再起動したときに自動で再開されます。
再起動回数を指定したい場合は、たとえば次のようにします。
manage-bde -protectors -disable C: -rebootcount 2
この例では、指定した再起動回数の後に保護が再開されます。
方法3:PowerShellで一時停止する
管理者として起動したPowerShellでは、次のコマンドを利用できます。
Suspend-BitLocker -MountPoint "C:" -RebootCount 0
-RebootCount 0は、手動で再開するまで保護を一時停止する指定です。作業後に再開を忘れない運用が必要です。
注意:コマンドを使う場合は、対象ドライブ文字を必ず確認してください。意味が分からないオプションを追加したり、ネット上のコマンドをそのまま実行したりしないでください。
一時停止と「BitLockerを無効にする」は違う
BIOS更新前の対策として必要なのは、多くの場合「保護の一時停止」です。「BitLockerを無効にする」「BitLockerをオフにする」はドライブの復号を開始する別の操作です。
| 操作 | ドライブの暗号化 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 保護を一時停止 | 暗号化されたまま | BIOS/UEFI更新など予定された構成変更 |
| 保護を再開 | 暗号化されたまま | メンテナンス完了後に通常の保護へ戻す |
| BitLockerをオフ | 復号される | 暗号化自体を今後使用しない場合 |
トラブル回避のためだけに復号を開始すると、処理に時間がかかり、作業中断など新たなリスクも増えます。必要がなければ「BitLockerをオフ」にはしないでください。
作業が終わったらBitLockerを再開する
BIOS/UEFI更新などが正常に完了し、Windowsが問題なく起動したことを確認したら、BitLockerの保護状態を確認します。
コントロールパネルから手動で一時停止した場合は、「BitLocker ドライブ暗号化」の画面から「保護の再開」を選びます。
PowerShellでは次のコマンドで再開できます。
Resume-BitLocker -MountPoint "C:"
コマンドプロンプトでは次のように実行できます。
manage-bde -protectors -enable C:
再開を忘れたかもしれないときの確認方法
「一時停止したままか分からない」「BIOS更新後に自動で戻ったか確認したい」という場合は、推測せず現在の保護状態を確認します。
コントロールパネルで確認する
- コントロールパネルを開きます。
- 「システムとセキュリティ」→「BitLocker ドライブ暗号化」を開きます。
- OSドライブの表示を確認します。
保護が一時停止されている場合は、再開できる項目が表示されます。作業が終わっているのであれば「保護の再開」を実行します。
manage-bdeで確認する
管理者としてコマンドプロンプトを開き、次を実行します。
manage-bde -status C:
表示された情報の中で、保護状態を確認します。Windowsの表示言語によって表記は異なりますが、保護が有効か一時停止中かを確認できます。
保護が一時停止中で、BIOS/UEFIなどの作業がすでに終了している場合は、次のコマンドで再開できます。
manage-bde -protectors -enable C:
PowerShellで確認する
管理者としてPowerShellを開き、次を実行します。
Get-BitLockerVolume
対象ボリュームのProtectionStatusなどを確認します。複数ドライブがある場合は、OSドライブとデータドライブを取り違えないようにしてください。
「再起動したから自動で再開している」とは限らない
一時停止の方法によって、自動再開の条件が異なります。
manage-bde -protectors -disable C:を再起動回数の指定なしで実行した場合は、通常は次回Windows起動時に自動再開します。-rebootcount 0を指定した場合は、手動で再開するまで一時停止が続きます。- PowerShellで
Suspend-BitLocker -RebootCount 0を使用した場合も、手動再開が必要です。 - コントロールパネルから一時停止した場合も、作業後に保護状態を確認して再開するのが安全です。
そのため、「一度再起動したから大丈夫」と決めつけず、manage-bde -status C:やBitLockerの管理画面で確認するのが確実です。
一時停止中のまま使い続けない
BitLockerを一時停止してもドライブのデータそのものは暗号化された状態ですが、保護機能の一部が無効になっています。BIOS更新などの作業が完了したあとも長期間そのままにしておくのは避けてください。
特にノートパソコンは持ち運ぶ機会が多いため、盗難や紛失時の保護というBitLocker本来の目的を十分に果たせない状態になる可能性があります。
作業後は次の3点を確認すると安全です。
- Windowsが正常に起動する。
- BitLockerの保護状態が「有効」に戻っている。
- 念のため回復キーを保管している場所を再確認する。
一時停止後にBitLocker回復画面が出た場合
一時停止したつもりでも、更新内容や実行タイミング、再起動回数、TPM/Secure Bootの状態によっては回復キーを要求されることがあります。
その場合は、慌ててTPMをクリアしたり、BIOSを初期化したり、Windowsを初期化したりしないでください。まず画面に表示される回復キーIDを確認し、対応する48桁の回復キーを探します。
回復キーを求められたときの基本的な確認順序は、BitLocker回復キーを求められたら最初に確認すること|初期化する前の対処で解説しています。
よくある質問
Q. BIOSを更新するときは必ずBitLockerを一時停止する必要がありますか?
必ずとは限りません。更新方法やBitLockerの構成によって異なります。まずPCメーカーのBIOS更新手順を確認し、BitLocker一時停止の指示がある場合は従ってください。手動のUEFI/BIOS更新など、起動環境へ影響する作業では事前の回復キー確認と一時停止を検討します。
Q. Windows Updateの前にも毎回一時停止したほうが安全ですか?
通常は不要です。Microsoftから配信されるWindowsの品質更新・機能更新では、原則としてユーザーによるBitLockerの一時停止は必要ありません。
Q. 一時停止するとデータの暗号化は解除されますか?
いいえ。保護の一時停止はドライブ全体を復号する操作ではありません。BitLockerをオフにした場合に復号が行われます。
Q. 一時停止したまま数日使ってしまいました。データは消えますか?
一時停止だけでデータが消えるわけではありません。ただし保護が弱い状態なので、メンテナンスが終了しているならBitLockerの状態を確認し、すみやかに保護を再開してください。
Q. 保護を再開したらすぐに再起動が必要ですか?
通常は保護の再開操作そのもののためだけに強制的な再起動を行う必要はありません。ただし、BIOS/UEFI更新など作業側の指示で再起動が必要な場合は、その手順に従ってください。
まとめ
BitLockerの一時停止は、BIOS/UEFI、TPM、Secure Bootなど、起動時のセキュリティ構成へ影響する作業を安全に行うための機能です。通常のWindows Updateでは原則不要ですが、PCメーカーのファームウェア更新などでは必要になることがあります。
重要なのは、作業前に回復キーを確認し、一時停止と復号を混同せず、作業が終わったら保護状態を確認することです。再開したか分からない場合は、コントロールパネルやmanage-bde -status C:で現在の状態を確認してください。
BitLockerの設定に不安がある状態でTPM初期化やBIOS設定変更を繰り返すと、回復キーを要求される原因を増やすことがあります。データが必要なPCでは、初期化や暗号化解除を急がず、回復キーの保管状況を確認してから作業してください。
