[記事公開日]2026/08/17
外付けSSDへのコピー速度が途中から急に落ちる原因と確認項目
外付けSSDへ大容量ファイルをコピーしていると、最初は高速だったのに、途中から転送速度が大きく落ちることがあります。
この現象は、必ずしも故障とは限りません。SSD内部の高速書き込み用キャッシュを使い切った、SSDの温度が上がって速度を抑えている、コピー元の読み出しが追いつかない、多数の小さなファイルをコピーしている、といった正常な仕組みや条件による速度低下もあります。
一方で、速度が0MB/s付近まで落ちたまま戻らない、外付けSSDがWindowsから消える、コピーエラーが出る、接続音と切断音を繰り返す場合は、USBケーブル・ポート・外付けケース・電力・SSD本体の異常も疑います。
この記事では、外付けSSDへのコピー速度が途中から急に落ちる原因を、「正常寄りの速度低下」と「故障を疑う速度低下」に分けて、安全な順番で確認します。
最初に確認:速度が落ちてもコピーが継続しているのか、それとも外付けSSDが切断・再接続されているのかを確認してください。「遅い」と「接続が切れている」では原因の優先順位が大きく違います。
まず確認:どのように速度が落ちるのか
同じ「途中から遅くなる」でも、速度の変化によって原因を絞りやすくなります。
| 症状 | 主に確認すること |
|---|---|
| 最初は高速で、一定量を書き込むと低い速度で安定する | SSD内部のSLCキャッシュ、高負荷時の持続書き込み性能 |
| しばらく高速だが、本体が熱くなると徐々に低下する | サーマルスロットリング、放熱状態 |
| 大きな動画は速いが、小さなファイル大量コピーは遅い | ファイル数、メタデータ処理、コピー元の性能 |
| 速度が周期的に上下する | キャッシュ処理、コピー元・コピー先の速度差、バックグラウンド処理 |
| 0MB/s付近まで落ち、ドライブが消える | USB接続、ケーブル、電力、外付けケース、SSD故障 |
| 速度低下後に0x800701B1や0x80070037が出る | デバイス切断、USB経路、SSD・ケースの不安定さ |
原因1:SSDの高速書き込みキャッシュを使い切った
多くのコンシューマー向けSSDでは、NANDの一部を高速なSLC相当として使うキャッシュ機能が採用されています。
例えばSamsungは、Intelligent TurboWriteで内部のSLCバッファへ先に書き込むことで書き込み速度を高め、アイドル時にデータを本来のNAND領域へ移す仕組みを説明しています。Kingstonも、現代のコンシューマーSSDの多くがpSLCキャッシュを使い、着信データを高速に処理していると説明しています。
そのため、大容量ファイルを連続して書き込み、キャッシュ領域を使い切ると、「最初の数GB~数十GBは速いが、その後は低い速度で安定する」ことがあります。
この場合、次の特徴があれば故障とは限りません。
- 外付けSSDはWindowsから消えない
- エラーは出ない
- 速度低下後もコピー自体は進み続ける
- コピーを終えてしばらく休ませると、次の転送では再び速くなる
- 大容量連続書き込み時に再現しやすい
製品ページに記載されている「最大書き込み速度」は、必ずしもSSD全容量へ連続して書き込んだときの最低保証速度ではありません。キャッシュが効いている条件、ファイルサイズ、空き容量、PC側の性能などで実効速度は変わります。
原因2:SSDが高温になりサーマルスロットリングが働いている
SSDは高負荷になるとコントローラーやNANDの温度が上がります。一定以上の温度になると、故障を防ぐために性能を抑えるサーマルスロットリングが働く製品があります。
Kingstonも、SSDが高温になるとサーマルスロットリングが作動し、負荷の高い大容量ファイル転送などで読み書き速度が低下することがあると説明しています。
外付けSSDでは、特に次の条件で温度が上がりやすくなります。
- 数十GB~数百GBを連続して書き込む
- 小型ケースで放熱面積が少ない
- 直射日光が当たる
- 布や机上の物でSSDを覆っている
- 室温が高い
- USB-NVMeケースに放熱パッドが正しく接触していない
速度低下と同時にSSDがかなり熱くなり、転送を止めて温度が下がったあとに速度が戻る場合は、熱の影響を疑います。
注意:「何℃なら故障」と一律には判断できません。温度上限やスロットリング条件はSSDごとに異なるため、製品仕様やメーカー管理ツールで確認してください。触れないほどの異常発熱、認識切れ、エラーを伴う場合は使用を続けない方が安全です。
原因3:コピー元のストレージが遅い
外付けSSDへ書き込む速度は、外付けSSDだけで決まりません。コピー元が読み出せる速度を超えて書き込むことはできないため、コピー元がボトルネックになることがあります。
例えば次の組み合わせです。
コピー元HDDの読み出し速度が途中で低下すれば、外付けSSDへの書き込み速度も同じように落ちます。
「外付けSSDが遅い」と判断する前に、同じ外付けSSDへ別の正常な高速ストレージからコピーしたときも同じ症状になるかを比較すると切り分けやすくなります。
原因4:小さなファイルを大量にコピーしている
1つの100GB動画をコピーする場合と、数十万個の小さな画像・設定ファイルを合計100GBコピーする場合では、同じ総容量でも転送速度表示が大きく異なります。
小さなファイルを大量にコピーすると、ファイルごとに作成・属性・ディレクトリ情報などの処理が必要になるため、連続した大容量ファイルほど高い転送速度は出ません。
次のようなデータでは特に速度が低く見えやすくなります。
大きな単一ファイルでは速く、小さなファイル大量コピーだけ遅いなら、SSD故障の可能性は低くなります。
原因5:USBの規格・ケーブル・接続先が速度を制限している
外付けSSDが高速でも、PCとSSDの間にあるUSB規格が遅ければ、その速度を超えることはできません。
特に注意したいのは、USB Type-Cという端子形状だけでは転送速度を判断できないことです。Type-C端子でも、PC・ケーブル・外付けSSDの対応規格によって実効速度が変わります。
確認する場所は次のとおりです。
- 外付けSSD本体の対応USB規格
- PC側USBポートの対応速度
- USBケーブルのデータ転送規格
- USBハブ・ドックの対応速度
充電用ケーブルや低速規格のケーブルを使っていると、高速SSDでも本来の性能を出せません。
原因6:USBハブ・ドック・変換ケースがボトルネックになっている
外付けSSDをUSBハブやUSB-Cドック経由で接続すると、他の機器と帯域を共有したり、ハブ自体の仕様で転送速度が制限されたりすることがあります。
また、M.2 NVMe SSDをUSBケースへ入れて外付けSSDとして使っている場合は、SSD本体が高速でも、USB-NVMe変換チップ側の仕様が上限になります。
切り分けでは、まずPC本体の対応する高速USBポートへ外付けSSDを直接接続します。
直接接続で速度が安定するなら、USBハブ・ドック・変換ケース・ケーブル側を確認します。
原因7:SSDの空き容量が少ない
SSDの空き容量が少なくなると、内部のキャッシュやガベージコレクションに使える余裕が減り、書き込み性能へ影響する製品があります。
特に、ほぼ満杯のSSDへ大容量データを追加するときに「最初は速いが途中から低下する」場合は、不要ファイルを整理して空き容量を確保したあとに比較すると切り分けになります。
ただし、重要データが入った故障疑いSSDで、速度改善のためだけに大量削除やフォーマットを行う必要はありません。まずバックアップを優先してください。
原因8:ウイルス対策ソフトやバックグラウンド処理の影響
コピーするファイルをウイルス対策ソフトがリアルタイムで検査したり、Windowsやクラウド同期ソフトが同時にストレージへアクセスしたりすると、コピー速度が変動することがあります。
タスクマネージャーで、コピー中に次の負荷が高くなっていないか確認します。
- コピー元ディスク
- コピー先ディスク
- CPU使用率
- メモリ使用量
- 他のアプリによるディスクアクセス
ただし、原因切り分けのためにウイルス対策を完全に無効化することはおすすめしません。まずは不要な大規模バックアップ、同期、動画編集などの処理を停止して比較します。
異常を疑う症状:0MB/s、切断、エラーを伴う場合
キャッシュ枯渇やサーマルスロットリングでは、速度が低下しても通常はデバイス自体がWindowsから消えるわけではありません。
次の症状がある場合は、USB接続やハードウェア側を強く疑います。
- 速度が0MB/s付近で長時間止まる
- 外付けSSDがエクスプローラーから消える
- WindowsのUSB切断音・接続音が鳴る
- 0x800701B1が表示される
- 0x80070037が表示される
- コピーを開始するとSSDが認識しなくなる
- 別PCでも同じように切断される
- SSDが異常に発熱する
この場合は「速度を改善する」より、接続の安定性とデータ保護を優先します。
0x800701B1が出る場合は、ファイルコピー中に「0x800701B1」が出るときの原因と対処法、0x80070037が出る場合は、ファイルコピー中に「0x80070037」が出るときの原因と確認方法も確認してください。
安全な確認手順
1. 転送速度の変化を記録する
まず、どの程度コピーすると速度が落ちるのか確認します。
- 開始直後の速度
- 速度が落ち始めるまでのコピー量
- 低下後の速度
- 0MB/sになるか
- 外付けSSDが消えるか
毎回ほぼ同じ容量を書き込んだところで速度が一段下がり、その後安定してコピーが続くなら、キャッシュの影響を疑いやすくなります。
2. 大きな単一ファイルと小さなファイル群を比較する
失っても問題ないテストデータで、大きな動画ファイルなどと、小さなファイルを多数含むフォルダーのコピーを比較します。
大きなファイルでは速く、小ファイルだけ遅い場合は、ファイル処理のオーバーヘッドが主な原因と考えられます。
3. PC本体へ直接接続する
USBハブ、延長ケーブル、ドッキングステーションを外し、PC本体の高速USBポートへ直接接続します。
直接接続で改善する場合は、SSD本体以外の接続経路を確認します。
4. 別の対応ケーブルを試す
ケーブル交換が可能な外付けSSDなら、同じ規格に対応する正常なケーブルで比較します。
USB Type-Cケーブルは外見が似ていても、対応するデータ転送速度が異なることがあります。購入・交換時は「充電対応」だけでなくデータ転送規格を確認してください。
5. SSDの空き容量を確認する
空き容量が極端に少ない場合は、不要データを別媒体へ移したうえで比較します。
ただし、故障が疑われるSSDでは、性能テストのための大量書き込みより重要データのバックアップを優先します。
6. SSD温度を確認する
メーカー管理ツールが外付けSSDに対応している場合は、コピー中の温度を確認します。
温度が上昇するにつれて速度が低下し、冷却後に戻るなら熱の影響を疑えます。
ケースを分解したり、冷却のために冷蔵庫・冷凍庫へ入れたりする必要はありません。まず通気を確保し、直射日光や熱源を避けます。
7. 別PCで同じSSDを比較する
別PCの対応USBポートでも同じ速度低下が起きるか確認すると、PC側とSSD側を切り分けやすくなります。
| 結果 | 考え方 |
|---|---|
| 別PCでも同じ容量付近で速度が低下する | SSDキャッシュ・温度・SSD側性能の可能性 |
| 別PCでは高速で安定する | 元PCのUSB規格、ポート、ドライバー、ハブなどを確認 |
| 別PCでも切断・エラーが出る | SSD、ケーブル、外付けケース側の異常を疑う |
ベンチマークは故障が疑われるSSDで先に実行しない
速度を調べるためにベンチマークソフトを使う方法もありますが、書き込みベンチマークはSSDへ一定量のデータを書き込みます。
外付けSSDが安定して認識され、重要データもバックアップ済みなら性能比較に役立ちます。一方で、認識が切れる、エラーが出る、唯一の重要データが入っている状態では、ベンチマークよりデータ保護を優先してください。
重要データがある場合の優先順位
外付けSSDが単に遅いだけでなく、切断や読み書きエラーまで伴う場合は次の順番で対応します。
- 初期化・フォーマットをしない
- CHKDSK /f /rを先に実行しない
- 読める重要データを別の正常なストレージへ退避する
- 一括コピーが止まる場合は重要フォルダーから小分けにする
- 別ケーブル・別ポート・別PCで接続を切り分ける
- 切断が続く場合は再試行回数を増やさない
外付けSSDが認識しない・アクセスできない状態まで進んだ場合は、外付けSSDが認識しない・アクセスできない場合の原因と対処を確認してください。
接続切り分け・バックアップで使うことがあるもの
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購入前にPC・外付けSSD・ケーブルのUSB規格と端子形状を確認してください。「USB Type-C」はコネクター形状を示すもので、必ず10Gbps以上で通信できるという意味ではありません。
速度改善のためにいきなり行わない方がよい操作
SSDをフォーマットする
フォーマットは速度低下の第一選択ではありません。重要データがある場合はデータ消失につながるため、原因が分からない段階で実行しないでください。
USBドライバーを一括削除する
別ケーブル・別ポート・直接接続・別PCでの比較より先に、デバイスマネージャーからUSB関連ドライバーをまとめて削除する必要はありません。
BIOS/UEFIを変更・更新する
外付けSSDが遅いという理由だけでBIOS/UEFI設定を変更したり、BIOSを更新したりするのは避けます。PCメーカーが該当症状への対策として更新を案内している場合などに検討してください。
故障疑いSSDへ長時間の書き込みテストを行う
切断やエラーがあるSSDでは、性能測定より重要データの確保が先です。
よくある質問
最初は500MB/s前後なのに途中から100MB/s以下になります。故障ですか?
必ずしも故障ではありません。SLCキャッシュを使い切った後の持続書き込み速度へ移行している可能性があります。ドライブが切断されず、エラーもなく、その後も一定速度でコピーが進むなら正常な製品特性の可能性があります。正確な持続書き込み性能はSSDの型番ごとにメーカー仕様を確認してください。
コピー速度が0MB/sになるのは普通ですか?
短時間の変動だけならWindowsのバッファ処理などで見えることはありますが、長時間0MB/sのまま、ドライブが消える、エラーが出る場合は正常とは考えにくくなります。USB接続やSSD本体を切り分けてください。
外付けSSDが熱いのですが大丈夫ですか?
高速SSDは大容量連続転送で温度が上がることがあります。ただし、許容温度やスロットリング条件は製品ごとに異なります。メーカー仕様や管理ツールを確認し、異常発熱・認識切れ・エラーを伴う場合は使用を止めてください。
USBハブを使うと遅くなりますか?
ハブの対応規格、接続機器数、帯域共有、電力条件によっては遅くなることがあります。原因切り分けではPC本体へ直接接続して比較してください。
SSDの空き容量が少ないと速度は落ちますか?
製品によっては影響します。キャッシュや内部整理に使える余裕が減るためです。空き容量が少ない場合は、重要データを別媒体へバックアップしたうえで容量を確保して比較します。
コピー元がHDDでも外付けSSDの速度は遅くなりますか?
はい。コピー速度はコピー元とコピー先の両方の性能に制限されます。内蔵HDDや遅いUSBメモリから外付けSSDへコピーすると、外付けSSD自体が高速でもコピー元の読み出し速度が上限になります。
速度が落ちたらUSBの省電力設定を無効にすべきですか?
速度低下だけなら最初に変更する必要はありません。MicrosoftのUSB Selective Suspendは、未使用のUSBポートを個別に休止させる省電力機能です。まずケーブル・USB規格・直接接続・別PC・温度・キャッシュなどを確認し、PC側で切断症状がある場合に電源管理を検討してください。
まとめ
外付けSSDへのコピー速度が途中から急に落ちても、すぐ故障とは限りません。
- 速度低下後もコピーが続くか、ドライブ自体が切断されるか確認する
- 一定量を書いた後だけ落ちるならSLCキャッシュの影響を確認する
- 高負荷・高温で落ちるならサーマルスロットリングを疑う
- コピー元ストレージがボトルネックでないか確認する
- 小さなファイル大量コピーと大きな単一ファイルを区別する
- PC・ケーブル・SSD・ハブのUSB規格を確認する
- PC本体へ直接接続して比較する
- SSDの空き容量を確認する
- 別PCでも同じ現象が出るか確認する
- 0MB/s・切断・エラーを伴う場合は接続やSSD故障を優先して疑う
「速度が落ちた」だけなのか、「デバイスが正常に通信できなくなった」のかを分けることが、外付けSSDの速度低下を正しく切り分けるポイントです。
