[記事公開日]2026/08/17
[最終更新日]2026/08/19
SSDのS.M.A.R.T.値で特に注意したい項目を初心者向けに解説
CrystalDiskInfoなどでSSDのS.M.A.R.T.情報を見ると、「Percentage Used」「Available Spare」「Media and Data Integrity Errors」「総書き込み量」など、初心者には意味が分かりにくい項目が並びます。
重要なのは、S.M.A.R.T.の数値を1つだけ見て「正常」「故障」と決めつけないことです。SSDでは、NVMe SSDとSATA SSDで表示項目の考え方が異なり、SATA SSDではメーカー独自の属性名・ID・判定方法が使われることがあります。
この記事では、SSDのS.M.A.R.T.値のうち特に確認したい項目を、NVMe SSDを中心に初心者向けに整理します。また、どの値が出たらバックアップや交換を優先すべきかも解説します。
まず知っておきたい:S.M.A.R.T.は「故障日を予測する機能」ではない
S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)は、SSDやHDD自身が内部状態や使用状況を記録し、ホスト側へ報告する仕組みです。
メーカーの管理ソフトやCrystalDiskInfoなどは、その情報を読み取って健康状態を表示しています。
ただし、S.M.A.R.T.は「あと何日で壊れる」「正常なら絶対に故障しない」ことを保証するものではありません。
実際には、S.M.A.R.T.上は大きな異常がなくても突然認識しなくなるSSDがあります。反対に、寿命指標が低下していてもすぐ故障するとは限りません。
そのため、S.M.A.R.T.は次のように使います。
- SSDの使用量・寿命指標を確認する
- エラーが増えていないか確認する
- 高温状態が続いていないか確認する
- 警告と実際の症状を組み合わせて交換判断する
- 重要データのバックアップを取るタイミング判断に使う
NVMe SSDとSATA SSDではS.M.A.R.T.の読み方が違う
Kingston公式でも、NVMe SSDのS.M.A.R.T.報告は標準化されている一方、SATA SSDのS.M.A.R.T.報告は標準化されておらず、メーカーごとに独自実装があると説明されています。
| 種類 | S.M.A.R.T.の特徴 |
|---|---|
| NVMe SSD | NVMe規格のSMART / Health Information Logに主要項目が定義されている |
| SATA SSD | 属性ID・名称・意味・しきい値がメーカーや製品で異なることがある |
そのため、インターネットで「属性ID 〇〇は必ずこの意味」と書かれていても、別メーカーのSATA SSDへそのまま当てはめないことが大切です。
SATA SSDは、可能であればSamsung Magician、Crucial Storage Executive、Kingston SSD Managerなど、SSDメーカー純正の管理ソフトや公式資料も確認してください。
NVMe SSDで最初に確認したい項目一覧
| 項目 | 初心者向けの見方 | 注意する状態 |
|---|---|---|
| Critical Warning | 重大な警告が出ているか | 0以外なら最優先で内容確認・バックアップ |
| Percentage Used | メーカー推定の寿命をどの程度使用したか | 100%付近・超過、または短期間で急増 |
| Available Spare | 使用可能な予備領域の割合 | Available Spare Threshold以下 |
| Media and Data Integrity Errors | 回復できなかったデータ整合性エラーの回数 | 0以外、特に増加している |
| Temperature | SSDの現在温度 | メーカー上限付近が長時間続く |
| Warning / Critical Temperature Time | 高温域にいた累積時間 | 継続的に増えている |
| Unsafe Shutdowns | 正常終了せず電源が失われた回数 | 頻繁に増えるなら電源断・強制終了を見直す |
| Data Units Written | SSDへ書き込まれた累積データ量 | 製品の耐久性仕様と合わせて確認 |
1. Critical Warning:最初に見るべき重大警告
NVMe SSDでは、Critical Warningが重要な確認項目です。
NVM Expressの仕様では、このフィールドの各ビットでSSDの重大な状態を示します。一般的には、値が0なら重大警告なし、0以外ならいずれかの警告条件に該当しています。
代表的な警告内容は次のとおりです。
- Available Spareがしきい値を下回った
- 温度が重要しきい値を超えた
- 媒体または内部エラーによって信頼性が低下した
- SSDが読み取り専用モードになった
- 揮発性メモリのバックアップ機能に問題がある製品で、その機能が失敗した
Critical Warningが0以外なら、原因調査より先に重要データのバックアップを確認してください。
特に「読み取り専用」「信頼性低下」などの警告と、実際の書き込み失敗・認識切れが同時に発生している場合は、SSD交換を前提に判断します。
2. Percentage Used:「残り寿命」ではなく「使用した寿命」の割合
NVMe SSDで非常に重要なのがPercentage Usedです。
NVM Expressでは、メーカーがSSDの実際の使用量とNVM寿命予測を基に算出する「寿命をどの程度使用したか」の推定値として定義されています。
初心者が間違えやすいのは、Percentage Usedは「残り寿命」ではないという点です。
| 表示例 | 意味の考え方 |
|---|---|
| 0% | 寿命指標上はほぼ未使用 |
| 20% | メーカー推定寿命の約20%を使用した目安 |
| 80% | メーカー推定寿命の約80%を使用した目安 |
| 100% | メーカーが想定する耐久性の目安へ到達 |
| 100%超 | 規格上あり得る。直ちに停止するという意味ではないが交換を強く検討 |
KingstonのNVMe SSDでも、新品はPercentage Usedが0、製品の耐久性保証基準へ達した状態では100以上になるという考え方が示されています。
100%になった瞬間に必ず壊れるわけではありません。ただし、重要データを保存し続けるドライブとしては、バックアップを確認し交換を検討すべき段階です。
SSD寿命の判断を詳しく知りたい場合は、SSDの寿命は書き込み量だけでは判断できない?確認すべき項目も参照してください。
3. Available Spare:予備領域がどの程度残っているか
SSDは、使用できなくなったNAND領域を置き換えるための予備領域を持っています。
NVMeのAvailable Spareは、利用可能な予備容量を0~100%の正規化された値として示します。
同時にAvailable Spare Thresholdという警告しきい値があります。
Available Spareがこのしきい値を下回ると、Critical Warningにも反映されます。
たとえば、次のように考えます。
- Available Spare 100%、Threshold 10%:予備領域には余裕がある
- Available Spare 15%、Threshold 10%:かなり減っている。推移を注意して確認
- Available Spare 8%、Threshold 10%:しきい値を下回り、重大警告の対象
Available Spareの値だけで故障日を予測することはできません。Percentage Used、Media Errors、実際の症状も合わせて判断します。
4. Media and Data Integrity Errors:増えていたら要注意
Media and Data Integrity Errorsは、コントローラーが回復できなかったデータ整合性エラーなどを記録する項目です。
NVM Expressの仕様では、訂正不能なECCエラーやCRCエラーなど、回復できなかったデータ完全性エラーを含むカウンターとして定義されています。
この値は、0より大きいだけでも原因を確認したい項目です。特に次の状況ではバックアップを優先してください。
- 値が時間とともに増えている
- ファイルコピーで読み取りエラーが出る
- Windowsがフリーズする
- SSDが認識したり消えたりする
- Critical Warningも同時に出ている
ただし、過去に記録された値が1回だけ残っており、その後長期間増えていない場合と、現在も増加し続けている場合では意味合いが異なります。
現在値だけでなく「増加傾向」を見ることが重要です。
5. Error Information Log Entries:数だけで故障確定しない
NVMe SSDではError Information Log Entriesというエラーログ件数が表示されることがあります。
この値はエラー情報ログへ記録された件数を示しますが、0ではない=NAND故障と単純には判断できません。
コマンド関連など複数種類のエラーが記録対象になるためです。
確認するときは次の項目と組み合わせます。
- Critical Warning
- Media and Data Integrity Errors
- 実際の読み書きエラー
- SSDの認識状態
- メーカー診断結果
Media and Data Integrity Errorsが増え、実際の読み取り不良も出ている場合の方が、単にError Information Log Entriesだけが増えている状態より重要度は高くなります。
6. Temperature:温度だけで故障と判断しない
NVMe SSDでは現在温度や、高温状態にいた累積時間が記録される場合があります。
高性能NVMe SSDは負荷時に温度が上がりやすいため、50~60℃台になっただけで故障とは判断できません。
確認したいのは次の点です。
- SSDメーカー公表の動作温度範囲
- アイドル状態でも高温が続いていないか
- 負荷時に温度と同時に速度が大きく低下しないか
- Warning Composite Temperature Timeが増え続けていないか
- Critical Warningの温度警告が出ていないか
NVMe SSDの温度判断については、NVMe SSDの温度が高いときの目安とサーマルスロットリング確認方法を参照してください。
7. Unsafe Shutdowns:故障カウンターではないが、増え方を見る
Unsafe Shutdownsは、SSDが正常なシャットダウン処理を行わないまま電源を失った回数を示す項目です。
たとえば次のような状況で増える可能性があります。
- 電源ボタン長押しによる強制終了
- 停電
- デスクトップPCの電源コード抜け
- バッテリー切れ
- システムフリーズ後の強制終了
Unsafe Shutdownsが多いからSSD故障という意味ではありません。
ただし、短期間に増え続けている場合は、PC側の電源・フリーズ・シャットダウン問題を確認してください。予期しない電源断は、書き込み中のデータやSSD内部の管理情報に影響する可能性があります。
8. Data Units Written・総書き込み量:TBWと比較する
SSDには、ホストから書き込まれた累積データ量が記録されています。
CrystalDiskInfoやメーカーソフトでは「総書き込み量」「Host Writes」などとして分かりやすい単位に換算して表示される場合があります。
これをメーカー公表のTBW(Total Bytes Written / Terabytes Written)と比較すると、SSDがどの程度使われてきたかを判断する材料になります。
ただし、TBWへ達していない=絶対に故障しない、TBWへ達した=即故障という意味ではありません。
書き込み量は寿命判断の一要素です。Percentage Used、Available Spare、エラー項目、温度、実際の症状も合わせて見ます。
9. Power On Hours・Power Cycles:単独では故障判定に使わない
Power On Hoursは通電時間、Power Cyclesは電源投入回数の目安です。
これらはSSDの使用履歴を見るのに役立ちますが、時間や回数だけで故障とは判断できません。
たとえば、長時間稼働していてもエラーがなく安定しているSSDもあれば、使用時間が短くてもコントローラー故障などで突然認識しなくなるSSDもあります。
中古SSDの使用状況を確認するときや、他の健康指標と合わせて利用する項目です。
SATA SSDのS.M.A.R.T.項目はメーカー依存に注意
SATA SSDでは、CrystalDiskInfoに次のような名称が表示されることがあります。
- 残り寿命
- SSD Life Left
- Wear Leveling Count
- Media Wearout Indicator
- Reallocated Sector Count
- Uncorrectable Error Count
- CRC Error Count
- Total Host Writes
しかし、属性IDや生の値の意味はメーカー・コントローラーによって異なります。
たとえばKingstonでは、SATA SSDの寿命指標としてSMART属性231を「SSD Wear Indicator」として使う製品があり、新品100から寿命基準へ近づくと値が低下する方式があります。一方、別メーカーでは同じIDを別の意味で使う可能性があります。
そのため、SATA SSDでは次の順で確認するのがおすすめです。
- SSDの正確なメーカー名・型番を確認する
- メーカー純正のSSD管理ソフトがあれば確認する
- メーカーのS.M.A.R.T.属性資料があれば照合する
- CrystalDiskInfoの健康状態と実際の症状を合わせて判断する
CrystalDiskInfoの「正常」だけを見て安心しない
CrystalDiskInfoで「正常」と表示されていても、次の症状がある場合はSSDの確認を続けてください。
- WindowsからSSDが突然消える
- BIOS/UEFIでも認識が不安定
- ファイルコピー中にSSDが切断される
- 読み書きエラーが繰り返し発生する
- アクセス時にWindowsがフリーズする
- 高温になると認識されなくなる
S.M.A.R.T.で監視できる情報には限界があります。
詳しくは、SSDの健康状態が正常でも故障していることはある?症状別チェックを参照してください。
こんなS.M.A.R.T.状態ならバックアップを優先
次の状態では、原因調査やベンチマークより先にバックアップをおすすめします。
- Critical Warningが0以外
- Percentage Usedが100%付近または超過している
- Available Spareがしきい値以下
- Media and Data Integrity Errorsが増加している
- CrystalDiskInfoが「注意」「異常」
- 実際に認識切れ・読み取りエラー・フリーズがある
- SSDが読み取り専用になっている
バックアップは同じSSD内ではなく、別の物理ストレージへ保存します。
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バックアップ先として使うもの:
-
外付けSSD:
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※問題が疑われるSSDとは別の物理ストレージを使用してください。必要容量とPC側のUSB端子を確認して選んでください。
S.M.A.R.T.値を見るときにやってはいけないこと
1. 1つの値だけで故障確定する
Percentage Used、温度、総書き込み量など、1項目だけでSSDの状態を断定しないでください。
複数の健康指標と実際の症状を合わせて判断します。
2. SATA SSDの属性IDを全メーカー共通と思う
SATA SSDのS.M.A.R.T.属性はメーカー依存が大きいため、別メーカーの記事や表をそのまま当てはめないでください。
3. 警告を消すためにしきい値を変更する
監視ソフト側のしきい値を変更して「正常」に見せても、SSDの状態が改善するわけではありません。
4. 故障が疑われるSSDへベンチマークを繰り返す
S.M.A.R.T.エラーがあり、さらに認識切れや読み取りエラーが出ているSSDでは、性能測定よりデータ退避を優先してください。
5. CHKDSKでS.M.A.R.T.警告を直そうとする
CHKDSKはWindowsのファイルシステムを検査・修復するツールです。SSD内部の寿命指標やNAND劣化、Critical Warningを正常へ戻すためのツールではありません。
S.M.A.R.T.値を定期的に記録すると判断しやすい
S.M.A.R.T.は「現在値」だけでなく、値が時間とともにどう変化しているかを見ると判断しやすくなります。
たとえば次の項目を記録しておくと便利です。
- Percentage Used
- Available Spare
- Media and Data Integrity Errors
- 温度
- Unsafe Shutdowns
- 総書き込み量
- 健康状態
CrystalDiskInfoのスクリーンショットや、コピーしたテキスト情報を保存しておけば、数か月後に増加傾向を比較できます。
よくある質問
Percentage Usedが20%なら残り寿命80%ですか?
単純な目安としては近い考え方ですが、残り使用期間を正確に80%と予測できるわけではありません。Percentage Usedはメーカーが実使用量と耐久性予測を基に算出した寿命消費の推定値です。
Percentage Usedが100%になったらSSDは使えませんか?
100%になった瞬間にSSDが停止するという意味ではありません。規格上100%を超える値もあり得ます。ただしメーカー想定の耐久性目安へ到達した状態なので、重要用途ではバックアップと交換を強く検討してください。
Media and Data Integrity Errorsが1なら故障ですか?
1回だけで故障確定とはいえませんが、回復できなかったデータ整合性エラーが記録されているため無視はおすすめできません。重要データをバックアップし、その後も値が増えるか、読み取りエラーなど実症状があるかを確認してください。
Unsafe Shutdownsが多いとSSDは壊れていますか?
この値だけで故障とは判断できません。強制終了や停電などの回数を示す履歴です。ただし短期間で増加している場合は、PCのフリーズ・電源・シャットダウン問題を確認してください。
総書き込み量がTBWを超えたらすぐ壊れますか?
TBWはメーカーが示す耐久性・保証上の目安であり、超えた瞬間に故障する値ではありません。ただし重要データ用SSDでは、Percentage Usedなど他の健康指標も確認し、交換を計画してください。
SATA SSDでCrystalDiskInfoの項目名がこの記事と違います
異常ではありません。SATA SSDのS.M.A.R.T.属性はメーカー独自項目が多く、同じ意味でも名称やIDが異なる場合があります。SSDの正確な型番を確認し、メーカー公式資料や純正管理ソフトを優先してください。
まとめ
SSDのS.M.A.R.T.値を見るときは、NVMe SSDとSATA SSDを同じ表だけで判断しないことが重要です。
NVMe SSDでは、まずCritical Warning、Percentage Used、Available Spare、Media and Data Integrity Errors、温度などを確認します。特に重大警告、予備領域のしきい値割れ、メディアエラーの増加がある場合は、重要データのバックアップを優先してください。
SATA SSDでは属性がメーカー依存のため、属性IDだけで意味を決めつけず、メーカー純正ツールや公式資料も確認します。
そして、S.M.A.R.T.が「正常」でも実際に認識切れ・フリーズ・読み取りエラーがあるなら、実症状を優先して判断してください。
