[記事公開日]2026/08/17
[最終更新日]2026/08/19
マザーボード故障を疑う症状まとめ|電源・USB・映像・POST
マザーボードが故障すると、電源が入らない、USB機器を認識しない、画面が映らない、POSTで止まる、再起動を繰り返すなど、さまざまな症状が出ることがあります。
ただし、これらの症状は電源ユニット、メモリ、CPU、グラフィックボード、SSD、電源スイッチ、USB機器の故障でも起こります。症状だけを見て「マザーボード故障」と断定すると、正常なマザーボードを交換してしまうことがあります。
ASUSやIntelの公式トラブルシューティングでも、起動しない・画面が出ない場合は、電源、CPU、メモリ、グラフィックボード、フロントパネル配線、最小構成などを順番に確認する方法が案内されています。
この記事では、マザーボード故障を疑う代表的なサインを電源・USB・映像・POSTに分け、他の部品と安全に切り分ける方法をまとめます。
マザーボード故障は「症状1つ」では判断しにくい
マザーボードは、CPU、メモリ、GPU、SSD、USB、LAN、オーディオ、電源など、多くの部品をつなぐ基板です。
そのため、マザーボードの一部が故障すると症状が広範囲に出る一方、接続されている別部品の故障でもマザーボード故障のように見えます。
| 症状 | マザーボード以外の主な候補 | 切り分けのポイント |
|---|---|---|
| 電源が完全に入らない | PSU、電源ケーブル、ケーススイッチ | 正常PSU・PWR_SWで比較 |
| ファンは回るが画面が出ない | メモリ、GPU、CPU、モニター | 診断LED・最小構成 |
| USBが使えない | USB機器、ドライバー、前面USBケーブル | 複数ポート・BIOS前でも確認 |
| POSTでCPU/DRAM/VGA LEDが止まる | 対象部品、電源、BIOS互換性 | 交換比較・公式マニュアル |
| SSDを認識しない | SSD故障、SATAケーブル、M.2接触 | 別ポート・別SSDで比較 |
| 突然再起動・フリーズ | PSU、メモリ、CPU/GPU温度、ドライバー | 温度・ログ・交換比較 |
マザーボード故障を疑いやすいサイン
次のような症状が複数重なるほど、マザーボード故障の可能性は高くなります。
- 正常な電源ユニットへ交換しても完全無反応
- ケース電源スイッチを切り分けても起動しない
- 正常なメモリ・GPUで比較してもPOSTしない
- 複数のUSBポートが同時に使えない
- BIOS/UEFIでもUSBキーボードが反応しない
- 診断LEDが同じ位置で止まり、対象部品交換でも変化しない
- マザーボード上に焦げ、腐食、液体跡、破損がある
- 落雷・電源異常・液体こぼしの後から複数機能が同時に故障した
- 特定のメモリスロットやPCIeスロットだけ繰り返し認識しない
- 正常な部品へ交換しても症状の範囲が変わらない
それぞれを詳しく確認していきます。
1. 電源ボタンを押しても完全無反応
ファンもLEDも動かない完全無反応は、マザーボード故障で起こることがあります。
ただし、最初にマザーボードを疑う症状ではありません。
まず次を確認してください。
- 壁コンセント・電源タップ
- PC電源ケーブル
- PSU背面の主電源スイッチ
- 24ピンATX電源
- CPU用EPS補助電源
- ケースのPWR_SW配線
これらを確認し、十分な容量の正常なPSUでも起動せず、ケース電源スイッチ側も正常と確認できた場合に、マザーボード側の疑いが強くなります。
電源スイッチとの切り分けは、PCケースの電源スイッチ故障かマザーボード故障か切り分ける方法を参考にしてください。
2. マザーボードのLEDは点くのに起動しない
マザーボード上のスタンバイLEDやRGB LEDが点灯していても、マザーボード全体が正常とは限りません。
待機電力だけが届いていて、CPU電源回路、メモリ回路、BIOS、クロック、PCIeなど起動に必要な部分で故障している可能性があります。
同時に、PSU側も「待機電力は出せるが負荷をかけると起動できない」状態があり得ます。
LED点灯だけでマザーボード・PSUの正常を断定しないでください。
マザーボードのLEDは点灯するのに電源が入らない場合の修理・対応方法と切り分け方法も参考になります。
3. 電源が一瞬入ってすぐ切れる
電源ボタンを押すとファンが一瞬だけ回り、すぐ止まる症状でもマザーボード故障は候補になります。
ただし、PSU保護動作、CPU補助電源未接続、ケースとの短絡、メモリ・CPU初期化異常でも同様の症状が起こります。
自作直後・マザーボード交換直後なら、特に次を確認します。
- 不要なスペーサーがマザーボード裏に当たっていないか
- ケース内へネジを落としていないか
- 24ピンとCPU補助電源が正しく接続されているか
- フロントUSB端子のピンが曲がっていないか
原因不明の状態で何度も電源ON/OFFを繰り返さないでください。
4. ファンは回るが画面がまったく出ない
電源LEDとファンは動いているのに、メーカーロゴやBIOS画面すら出ない場合、POSTが完了していない可能性があります。
マザーボード故障以外にも次が候補です。
- メモリ不良・半挿し
- グラフィックボード故障
- GPU補助電源未接続
- CPU故障・CPU対応BIOS不足
- モニター・映像ケーブル
ASUSやIntelも、No Boot/No Displayでは電源、CPU、メモリ、グラフィック、モニター、最小構成を順に確認するよう案内しています。
実際の故障例として、【PC故障例】デスクトップPC:電源投入後、LED点灯・FANの回転はあるが画面表示なしも参考になります。
5. CPU/DRAM/VGA/BOOT LEDで止まる
自作向けマザーボードには、CPU・DRAM・VGA・BOOTなどの診断LEDを搭載する製品があります。
ASUSのQ-LEDやMSIのEZ Debug LEDでは、POST中に問題が検出された箇所のLEDが点灯したままになることがあります。
ただし、点灯LED=その部品の故障確定ではありません。
- CPU LED → CPU電源、BIOS対応、CPUソケットも候補
- DRAM LED → メモリ、スロット、CPUメモリコントローラーも候補
- VGA LED → GPU、補助電源、PCIeスロットも候補
- BOOT LED → SSD、起動順、OSブート情報も候補
対象部品を正常なものへ交換しても同じ位置で止まる場合、マザーボード側のスロット・電源回路・信号回路などを疑いやすくなります。
診断LEDの詳しい読み方は、マザーボード上のLEDが点灯したまま起動しない場合の確認方法を確認してください。
6. 正常なメモリでも特定スロットだけ認識しない
特定のDIMMスロットだけメモリを認識しない場合、マザーボード側メモリスロットや配線の故障が候補になります。
ただし、現在のCPUではメモリコントローラーがCPU側にあるため、マザーボードだけではなく次も確認する必要があります。
- CPUソケットのピン曲がり
- CPUクーラーの締め付け偏り
- CPU側メモリコントローラー
- メモリ設定・XMP/EXPO
- メモリモジュール
正常と分かっている同一メモリを複数スロットで比較し、特定スロットだけ再現する場合にマザーボード側を疑います。
7. PCIeスロットだけ認識しない
グラフィックボードや拡張カードが特定のPCIeスロットでだけ認識されない場合も、マザーボード故障の可能性があります。
ただし、PCIeレーンの一部はCPUから直接接続されるため、CPU・ソケットも候補になります。
確認例:
- 同じGPUを別のPCIeスロットで試す
- 別の正常GPUで同じスロットを試す
- GPU補助電源を確認する
- CPUソケットの損傷を確認する
- BIOSでPCIe関連設定を変更していないか確認する
別GPUでも同じスロットだけ認識しない場合、マザーボード側の疑いが強くなります。
8. 複数のUSBポートがまとめて使えない
USBポートが1か所だけ使えない場合は、ポートの物理破損や接点不良が考えられます。
一方、背面USBの複数ポート、前面USB、USBキーボード・マウスなどが同時に使えない場合は、USBコントローラーやチップセット側の異常も候補になります。
まず次を確認してください。
- 複数のUSB機器で再現するか
- USB 2.0/USB 3.xの別ポートでも同じか
- 前面USBだけか、背面USBも使えないか
- WindowsだけでなくBIOS/UEFI画面でもキーボードが反応しないか
Windowsだけで使えない場合はドライバー・OS側の可能性が残ります。BIOS/UEFIでも複数USBポートが使えず、正常なキーボードでも同じなら、ハードウェア側を疑いやすくなります。
9. USB機器を挿すと電源が落ちる・起動しなくなる
破損したUSBポートやフロントUSB端子で短絡が起きると、PSUやマザーボードの保護により起動できない場合があります。
次の症状があればUSBポートを確認してください。
- 特定USBポートへ挿すと電源が落ちる
- USB端子内部の金属片が曲がっている
- フロントUSBを接続すると起動しない
- 「USB over current」などの警告が出る
USB端子内部の金属部品が曲がって接触している場合は、そのポートを使用しないでください。
フロントUSBヘッダーを切り分ける場合は、電源ケーブルを外してからマザーボードのマニュアルを確認して作業します。
10. LAN・オーディオ・USBなど複数のオンボード機能が同時に壊れる
マザーボード上にはLAN、オーディオ、USB、Wi-Fi、SATAなど複数のオンボード機能があります。
1つだけ使えない場合は個別デバイス・ドライバーが原因のことがありますが、停電・落雷・液体こぼし後に複数機能が同時に使えなくなった場合は、マザーボード上の電源回路やチップセット周辺の故障を疑いやすくなります。
ただし、Windows更新やドライバー異常でも複数機能に影響する場合があります。
BIOS/UEFI上の認識状態、デバイスマネージャー、別OS・起動メディアなどでソフトウェア要因を分けてください。
11. SATA・M.2ストレージを繰り返し認識しない
特定のSATAポートやM.2スロットだけSSDを認識しない場合、マザーボード側のポート故障も候補です。
ただし、先に次を確認します。
- SSD自体を別PC・別スロットで確認する
- SATAケーブルを交換する
- SATA電源を確認する
- M.2 SSDの規格(NVMe/SATA)とスロット対応を確認する
- CPU・チップセットのレーン共有条件をマニュアルで確認する
マザーボードによっては、特定のM.2スロット使用時に一部SATAポートが無効になるなど、仕様上の排他利用があります。
認識しない=故障と決めつけず、マザーボード仕様を確認してください。
12. BIOS/UEFI設定が頻繁に消える
BIOS設定や日時がAC電源を外すたびに戻る場合は、まずCMOS/RTC電池を確認します。
正しい新品電池へ交換しても設定保持ができない場合は、電池ホルダー、RTC回路、マザーボード側故障の可能性があります。
CMOS電池切れの症状は、CMOS電池切れで起きる症状一覧|時刻ずれ以外のサインを参考にしてください。
13. BIOS/UEFIへ入れない
電源は入り、ファンも回るのにBIOS/UEFIへすら到達しない場合は、POST段階で停止している可能性があります。
まず診断LED、ビープコード、メモリ1枚構成、GPU、CPU対応BIOSを確認します。
BIOSへ入れない症状だけで、BIOS ROMやマザーボード故障とは断定できません。
14. BIOS更新後に完全起動不能になった
BIOS更新中の電源断、誤ったファイル、更新失敗などで起動できなくなる場合があります。
マザーボードにBIOS FlashBack、Q-Flash Plus、Flash BIOS ButtonなどCPU起動前に復旧できる機能がある場合は、メーカー公式手順で復旧できる可能性があります。
ただし、USBポート、ファイル名、USBフォーマット、手順はモデルごとに異なります。
注意:他機種用BIOSを書き込んだり、更新途中で電源を切ったりしないでください。復旧機能がない場合はメーカー修理・ROM書き換えが必要になることがあります。
15. 焦げ・変色・液体腐食は強い故障サイン
目視で次の異常がある場合は、マザーボード故障を強く疑います。
- 基板・コネクタ周辺の焦げ
- 部品の割れ・欠け
- 液体こぼし後の白色・緑色の腐食
- USBポート・電源コネクタの溶け
- 焦げ臭い
この状態では何度も通電して確認しないでください。
液体が入った直後は、乾くまで通電して確認するのではなく、電源を切り、AC電源・可能ならバッテリーを外して点検を優先します。
16. コンデンサの膨張・液漏れ
古いマザーボードでは、電解コンデンサの上部が膨らむ、液漏れするなどの故障が見えることがあります。
ただし、最近のマザーボードでは固体コンデンサが多く、外見だけで内部故障を判断できない場合も多くあります。
「コンデンサが膨らんでいないからマザーボードは正常」とは判断できません。
17. 落雷・停電・電源事故の後から起動しない
雷サージや電源異常の後にPCが起動しなくなった場合は、PSUとマザーボードの両方が候補です。
この場合もマザーボードを先に購入せず、正常なPSUとの交換比較を行います。
LANケーブルやUSB経由でサージが入った場合は、LAN・USBだけ損傷することもあります。
18. メモリ・GPU・PSUを交換しても同じPOST位置で止まる
交換比較はマザーボード故障判断で非常に重要です。
たとえばDRAM LEDが点灯し、次を行っても同じならマザーボード・CPU側を強く疑えます。
- 正常なメモリ1枚へ交換
- 推奨スロットで確認
- 別スロットでも確認
- CPU対応BIOSを確認
- CPUソケットを確認
VGA LEDなら別GPU、電源なら別PSUというように、対象部品を正常品へ交換して症状が変わるか確認します。
19. 正常なPSUでも起動しない
マザーボード故障とPSU故障は症状が似ています。
特に完全無反応、一瞬だけ起動、負荷で再起動などはPSUでも起こります。
十分な容量があり正常と分かっているPSUへ交換し、同じ症状が再現するか確認すると大きな手掛かりになります。
🔧 電源トラブルかマザーボード故障か見分ける方法も参考にしてください。
モジュラーPSUの注意:PSUを交換するときは、元の電源ユニットのモジュラーケーブルを流用しないでください。コネクタ形状が同じでもPSU側ピン配列が異なる場合があります。交換PSU付属のケーブルを使用してください。
20. 最小構成でPOSTを確認する
ASUSやMSIの公式案内でも、No Boot/No Displayでは不要な部品を外して最小構成でPOSTを確認する手順が使われます。
一般的には次のような構成です。
- マザーボード
- CPU
- CPUクーラー
- メモリ1枚
- PSU
- CPUに内蔵GPUがない場合はグラフィックボード
- モニター
最初からマザーボードをケース外へ取り出す必要はありません。
まず次を外してください。
- USB機器
- 追加SSD/HDD
- 不要なPCIeカード
- RGBコントローラー
- 不要なフロントパネル機器
部品を減らすとPOSTする場合は、外した部品を1つずつ戻して原因を特定します。
21. ケース外テストは経験者向け
ケースとの短絡が疑われる場合、修理現場ではマザーボードを非導電性の台へ置き、最小構成で起動確認することがあります。
しかし、裸のマザーボードを扱うと次のリスクがあります。
- 基板裏面を金属へ接触させて短絡する
- CPUソケットを傷める
- 静電気で部品を損傷する
- 通電中の端子へ工具を当てる
自作経験がない場合は、ケース外テストまで行わず修理業者へ依頼してください。
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ネジ規格はPCケース・クーラー・メーカー製PCによって異なります。合わないドライバーでネジを傷めないよう、適合するサイズを使用してください。静電気対策用品も、正しい接地方法を確認して使用します。
22. CMOSクリアは設定不良が疑われる場合に行う
XMP/EXPO、オーバークロック、PCIe設定、CPU設定などを変更した直後からPOSTしなくなった場合は、CMOSクリアで改善することがあります。
ただしCMOSクリアは故障したマザーボードを修理する操作ではありません。
実施前に次を確認してください。
- マザーボード型番の公式マニュアル
- Clear CMOSボタン・ジャンパー位置
- 現在のBIOS設定
- BitLocker/デバイス暗号化の回復キー
ジャンパー位置を推測して端子を短絡しないでください。
23. BIOSアップデートは原因がある場合だけ行う
新しいCPUが現在のBIOSでは未対応、メーカーが特定の起動不具合を修正している、といった根拠がある場合はBIOS更新が有効です。
しかし、原因不明の完全無反応に対して「最新版BIOSなら直るかもしれない」と無条件で更新するのはおすすめしません。
更新に失敗すると起動不能になる可能性があります。
24. マザーボード故障とCPU故障を切り分けるのは難しい
CPUとマザーボードは密接に接続されているため、CPU LED、メモリ初期化、PCIe不良などでは両方が候補になる場合があります。
確実に切り分けるには、対応する正常CPUまたは正常マザーボードとの交換比較が必要になることがあります。
ただしCPUソケットの脱着はピン損傷のリスクがあるため、交換可能な検証部品がない場合は修理業者の診断を利用した方が安全です。
25. マザーボード故障とメモリ故障を切り分ける
POSTでDRAM LEDが止まる場合は、まずメモリ1枚・推奨スロットで確認します。
次のように結果を比較します。
| 結果 | 疑いやすい側 |
|---|---|
| 別メモリへ交換すると起動 | 元のメモリ |
| 同じメモリが特定スロットだけ不可 | スロット・CPUソケット・マザーボード |
| 複数の正常メモリでも全スロット不可 | CPU・マザーボード・BIOS |
単に「DRAM LEDが点いた」だけでマザーボード交換へ進まないことが大切です。
26. マザーボード故障とGPU故障を切り分ける
VGA LEDや画面表示なしでは、GPUとマザーボードの両方が候補です。
切り分け:
- 正常な別GPUで確認する
- CPU内蔵GPUがある場合は外付けGPUを外して確認する
- 別PCIeスロットが利用可能なら比較する
- GPU補助電源を確認する
別GPUでも同じPCIeスロットだけ使えない場合は、マザーボード側を疑いやすくなります。
27. マザーボード故障とSSD故障を切り分ける
BOOT LEDや「Boot device not found」が出る場合は、マザーボード故障よりSSD側の確認を先に行います。
- BIOSでSSD自体が認識されているか
- 別スロット・別ポートで認識するか
- 別PCやUSB変換環境でSSDを確認できるか
- Windows Boot Managerが存在するか
CPU・DRAM・VGAのPOSTが通ってBOOT LEDだけで止まる場合、マザーボード全体の故障よりストレージ・ブート構成の可能性が高いケースがあります。
28. 焦げ臭い・煙・異常発熱がある場合は通電を止める
次の状態では、原因確認のために何度も電源を入れないでください。
- マザーボードから焦げ臭い
- 煙が出た
- 24ピン・CPU電源・GPU電源コネクタが溶けている
- USBポートが変色している
- 基板の一部だけ異常に熱い
PCを停止し、PSU背面スイッチを切り、電源ケーブルを外してください。
焦げや溶損がある場合は、マザーボードだけでなくPSU・接続部品も同時に点検する必要があります。
29. 修理か交換か判断する
マザーボード故障が確認できた場合、一般ユーザーが基板上のICやMOSFETを交換する修理は難易度が高く、通常は基板交換またはメーカー修理になります。
交換時は次の互換性を確認してください。
- CPUソケット
- CPU世代・BIOS対応
- DDR4/DDR5などメモリ規格
- フォームファクター(ATX/MicroATX/Mini-ITXなど)
- ケースの固定位置
- PSUコネクタ
- M.2/SATA構成
- フロントUSB・USB-C・オーディオ端子
- WindowsライセンスやBitLockerへの影響
メーカー製PCでは独自形状・独自コネクタのマザーボードを使うことがあるため、市販ATXマザーボードへ単純交換できない場合があります。
30. マザーボード交換前にデータについて確認する
一般的なデスクトップPCでは、データはSSD/HDDに保存されているため、マザーボード故障だけでストレージ内データが直接消えるとは限りません。
ただし、BitLocker/デバイス暗号化を使用している場合、マザーボード交換やTPM変更後に回復キーを求められることがあります。
Windowsが起動できるうちに、重要データのバックアップとBitLocker回復キーを確認してください。
起動不能状態で暗号化されている場合は、初期化やWindows再インストールを急がず、まず回復キーとデータ保全を優先します。
マザーボード故障の可能性を高める判断表
| 確認結果 | マザーボード故障の疑い | 補足 |
|---|---|---|
| 正常PSUでも完全無反応 | 高くなる | PWR_SW・24ピン・CPU電源も確認 |
| 正常メモリ複数枚でも同じDRAM停止 | 高くなる | CPUソケット・CPUも候補 |
| 正常GPUでも同じVGA停止 | 高くなる | CPU・PCIe・電源も確認 |
| 複数USBポートがBIOSでも使えない | 高くなる | 正常USB機器で比較 |
| 特定SATA/M.2スロットだけ故障 | 中~高 | 仕様上の排他条件を確認 |
| 焦げ・腐食・溶損がある | 非常に高い | 再通電を避ける |
| PSU交換で直る | 低くなる | 元PSUを疑う |
| メモリ交換で直る | 低くなる | 元メモリを疑う |
おすすめの確認順序
- 症状を「電源・映像・USB・POST・ストレージ」に分類する
- 焦げ・煙・液体跡があれば通電を止める
- コンセント・PSU・24ピン・CPU補助電源を確認する
- ケース電源スイッチとPWR_SWを確認する
- 診断LED・ビープ・POSTコードを確認する
- メモリ1枚・GPU・映像ケーブルを確認する
- USB機器・追加ストレージ・拡張カードを外す
- 最小構成でPOSTを確認する
- 正常なPSU・メモリ・GPUで交換比較する
- 特定USB・DIMM・PCIe・M.2スロットの再現性を確認する
- 設定変更後なら公式手順でCMOSクリアを検討する
- CPU互換性など理由がある場合のみBIOS更新を検討する
- 交換比較後も症状が残る場合にマザーボード故障を判断する
よくある質問
電源が入らないだけでマザーボード故障と判断できますか?
判断できません。PSU、電源ケーブル、PWR_SW、24ピンATX電源、CPU補助電源でも完全無反応になります。正常PSUと電源スイッチを切り分けてからマザーボードを疑ってください。
マザーボードのLEDが光っていれば故障していませんか?
故障していないとは言えません。待機電力やRGB回路だけ動作していても、CPU・メモリ・PCIe・BIOSなど起動に必要な部分が故障している場合があります。
DRAM LEDが点灯しています。マザーボード故障ですか?
メモリ、CPUソケット、CPU内蔵メモリコントローラー、設定なども候補です。正常メモリ1枚で複数スロットを比較してから判断してください。
USBが全部使えません。マザーボード故障ですか?
Windows上だけならドライバーやOS側の可能性があります。BIOS/UEFI画面でも複数USBポートで正常なキーボードが使えない場合は、マザーボード側USB回路を疑いやすくなります。
画面が出ないのでマザーボード交換すべきですか?
先にメモリ、GPU、映像ケーブル、モニター、CPU対応BIOS、診断LEDを確認してください。正常GPU・メモリ・PSUでもPOSTしない場合にマザーボードの疑いが高まります。
CMOSクリアでマザーボード故障は直りますか?
設定不良なら改善する可能性がありますが、物理故障した回路は直りません。XMP/EXPOやオーバークロック、BIOS設定変更後から起動しない場合に検討してください。
焦げ臭いですが、もう一度電源を入れて確認してよいですか?
再通電しないでください。焦げ・煙・溶損がある場合はPSU背面スイッチを切り、電源ケーブルを外して点検します。マザーボードだけでなくPSU・ケーブル・GPUなど周辺部品も確認が必要です。
マザーボード交換でデータは消えますか?
SSD/HDDに保存されたデータがマザーボード交換だけで自動的に消えるわけではありません。ただしBitLocker/デバイス暗号化では、ハードウェア変更後に回復キーを要求される場合があります。交換前にバックアップと回復キーを確認してください。
まとめ
マザーボード故障を疑う症状には、完全無反応、USBの複数同時不良、映像なし、POST診断LED停止、特定スロットの認識不良などがあります。
しかし、どの症状もマザーボードだけに固有ではありません。電源ユニット、メモリ、CPU、GPU、SSD、電源スイッチなどを正常品との交換比較で除外することが重要です。
ASUSやIntelの公式案内でも、No Power/No Boot/No Displayでは、電源、CPU、メモリ、GPU、フロントパネル配線、最小構成などを順に確認する方法が使われています。
特に「正常PSU・正常メモリ・正常GPUで確認しても同じPOST位置で止まる」「複数USBポートがBIOSでも使えない」「焦げ・腐食・液体跡がある」といった条件が重なるほど、マザーボード故障の可能性は高くなります。
CMOSクリアやBIOS更新は最初の対処にせず、設定変更やCPU互換性など必要な理由がある場合だけ公式手順で実施してください。焦げ臭さや煙がある場合は、再現確認のための通電を繰り返さないことが重要です。
