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[記事公開日]2023/03/17
[最終更新日]2026/08/14

「電源ユニットが故障」したときに発生する可能性がある症状を紹介します。

パソコンの電源ユニット(PSU)が故障すると、まったく電源が入らないだけでなく、「寒い朝だけ起動しない」「休み明けに起動しにくい」「使用中に突然電源が落ちる」「異音がする」など、さまざまな症状が出ることがあります。

ただし、同じ症状はマザーボード、電源スイッチ、メモリ、グラフィックボード、HDDSSD、冷却系、コンセントや電源ケーブルなどの故障でも発生します。

そのため、この記事で紹介する症状は「この症状なら電源ユニット故障で確定」という意味ではなく、電源ユニットを原因候補として確認したほうがよいサインとして考えてください。

電源ユニット故障で起こることがある主な症状

症状 電源ユニット故障の可能性 ほかに考えられる原因
電源ボタンを押しても完全に無反応 高い コンセント、電源ケーブル、スイッチ、マザーボード
寒い朝や休み明けだけ起動しにくい 劣化時に見られることがある マザーボード、接触不良、RTC/CMOSなど
起動直後に電源が落ちる・再起動する ある CPU温度、メモリ、マザーボード、Windows
高負荷時だけ突然落ちる ある 電力不足、GPU、CPU温度、メモリ
ファンやLEDは動くが画面が映らない ある メモリ、GPU、マザーボード、モニター
電源ユニットから異音がする ある ファン、コイル音、ケース内の別部品
焦げ臭い・煙・火花が出る 重大な異常の可能性 マザーボード、ケーブル、他部品の短絡

症状1:パソコンがまったく起動しない

元記事でも紹介していた、電源ユニット故障でよく見られる症状です。

電源ボタンを押しても、次のような状態になります。

  • 電源LEDが点灯しない
  • ケースファンやCPUファンがまったく回らない
  • ビープ音も鳴らない
  • キーボードマウスのLEDも点灯しない
  • 何度押しても反応しない

ただし、この状態だけでは電源ユニット故障と断定できません。

まず、次の順番で外側から確認してください。

  1. 壁コンセントに電気が来ているか
  2. 電源タップのスイッチが入っているか
  3. 可能なら電源タップを使わず壁コンセントへ直接接続する
  4. 電源ケーブルが本体とコンセントへ奥まで入っているか
  5. 電源ユニット背面に主電源スイッチがある場合は「I」側になっているか

Dellの電源トラブルシューティングでも、まず正常な壁コンセントへ直接接続し、電源タップやUPSを迂回して確認する方法が案内されています。

Dell:How to Troubleshoot the Power Supply Unit (PSU) of a Dell Desktop Computer

症状2:なぜか午前中だけ電源が入らない

元記事で紹介していた、実際の修理現場でも見かける特徴的な症状です。

特に冬場など気温が低い時間帯に電源が入りにくく、室温が上がると起動するようになることがあります。

電源ユニット内部の部品が劣化すると、温度条件によって正常に立ち上がれなくなるケースがあります。最初は数回電源ボタンを押すと起動しても、徐々に症状が悪化し、最終的にはまったく起動しなくなることもあります。

ただし、「寒いと起動しない」という症状は電源ユニットだけでなく、マザーボード上の部品や接触不良などでも発生します。

「暖まると動くから問題ない」と使い続けず、重要データをバックアップしたうえで早めに診断することをおすすめします。

症状3:休み明けに電源が入らない

土日や長期休暇など、数日間パソコンを使わなかったあとだけ電源が入りにくいという相談もあります。

元記事では、「月曜日になると電源が入らないことがあるが、何度か試すと起動する」という例を紹介していました。

このような症状も、電源ユニットの劣化時に現れることがあります。

特に次のような変化がある場合は注意してください。

  • 以前は1回で起動したのに、最近は何度か押さないと起動しない
  • 寒い日ほど起動しにくい
  • 長時間電源を切ったあとだけ起動しない
  • 一度起動すると、その日は比較的正常に使える

症状が悪化する前にバックアップを取り、電源ユニットやマザーボードの診断を行うと安全です。

症状4:起動した直後に電源が落ちる・再起動する

電源ボタンを押すとファンが回って起動し始めるものの、数秒から数分で突然電源が落ちたり、再起動を繰り返したりすることがあります。

電源ユニットの出力が不安定な場合、このような症状が出ることがあります。

ただし、次の原因でも似た症状になります。

Windowsのブルースクリーンやエラーメッセージが出てから再起動する場合と、前触れなく「ブツン」と電源が切れる場合では切り分けが異なります。

症状5:高負荷のときだけ突然電源が落ちる

普段のWeb閲覧や文書作成では問題ないのに、ゲーム、動画編集、3D処理など負荷をかけると電源が落ちる場合があります。

電源ユニットが劣化して十分な出力を維持できない場合や、そもそも電源容量が構成に対して不足している場合に発生することがあります。

特に次の変更後から始まった場合は、電力条件も確認してください。

  • グラフィックボードを交換した
  • CPUを交換した
  • ストレージや増設カードを追加した
  • 電源ユニットを容量の小さいものへ交換した

ただし、CPUやGPUの温度上昇でも高負荷時のシャットダウンは起こります。電源ユニットだけを交換する前に、温度やエラーログも確認してください。

症状6:電源は入るが画面が真っ暗

元記事では、電源ボタンを押すと冷却ファンや一部のLEDは点灯するものの、画面に何も表示されないケースも電源ユニット故障時の症状として紹介していました。

電源ユニットの一部出力が不安定だと、ファンは回っていてもマザーボードやグラフィックボードが正常に初期化されない可能性があります。

ただし、画面が映らない症状は次の原因でも非常によく発生します。

  • メモリの接触不良・故障
  • グラフィックボードの故障
  • マザーボード故障
  • モニターや映像ケーブルの問題
  • BIOS/UEFIのPOSTエラー

ファンが回る=電源ユニットが完全に正常、という意味ではありません。一方で、画面が映らない=電源ユニット故障、とも断定できません。

症状7:電源ユニットから異音がする

元記事では、電源ユニットから「ブーン」「ギューン」「ジージー」などの音が出るケースを紹介していました。

異音の原因としては、次のようなものがあります。

  • 冷却ファンの軸受け劣化
  • ファンへの異物接触
  • 振動
  • 電気的な高周波音
  • 内部部品の劣化

「ジー」「キーン」といった音は、必ずしも故障とは限りません。負荷によってコイル鳴きが発生する製品もあります。

一方で、以前は静かだった電源ユニットから急に大きな音が出るようになった、ファンが擦れる音がする、焦げ臭さを伴う、といった場合は使用を続けないほうが安全です。

症状8:電源ユニットのファンが回らない

元記事では、「負荷をかけても電源ユニットの冷却ファンが回転しない場合は故障の可能性がある」と紹介していました。

この点は現在の電源ユニットでは注意が必要です。

最近の一部電源ユニットには、低負荷・低温時にファンを停止するZero RPM/Fanless/Hybrid Fan Control機能があります。このタイプでは、パソコンが正常に動作していても電源ユニットのファンが止まっていることがあります。

Corsairも、一部の電源ユニットでは負荷や温度が低いときにファンを完全停止し、必要になったときだけ回転するZero RPM機能を案内しています。

Corsair:What are zero-RPM PSUs?

したがって、ファン停止だけで故障と判断せず、使用している電源ユニットの仕様を確認してください。

ただし、Zero RPM機能のない機種でファンがまったく回らない、異常発熱する、異音後に停止した、といった場合は故障を疑います。

症状9:「パンッ」という音・煙・火花・焦げ臭さ

元記事でも重要な注意として紹介していた症状です。

まれに、電源ユニットや周辺の電源回路で部品が破損し、「パンッ」という音、煙、火花、焦げ臭さが発生することがあります。

この場合は、すぐに使用を中止してください。電源を入れ直して確認しようとせず、可能であればコンセントから電源ケーブルを抜きます。発熱・発煙が続く場合は安全確保を最優先してください。

電源ユニットだけでなく、マザーボード、グラフィックボード、ケーブルなどが損傷している可能性もあります。

重要なデータが入っている場合は、何度も通電せず、ストレージの状態を含めて修理業者へ相談してください。

電源ユニット故障と間違えやすい原因

電源ユニットの症状は、他の部品故障と非常に似ています。

原因 似た症状
マザーボード故障 完全無反応、再起動、画面が映らない
電源スイッチ故障 ボタンを押しても無反応
メモリ不良 画面が映らない、再起動する
グラフィックボード故障 高負荷時に落ちる、画面が映らない
CPU温度異常 起動後に落ちる、高負荷時に落ちる
HDDSSD故障 起動しない、途中で固まる
USB機器・増設部品の短絡 電源が入らない、すぐ落ちる
コンセント・電源タップ 完全無反応

「電源が入らないから電源ユニットを交換する」という決め打ちではなく、可能な範囲で切り分けることが重要です。

電源ユニット故障を安全に切り分ける方法

1. コンセントと電源ケーブルを確認する

別の正常な機器を壁コンセントへ接続し、通電しているか確認します。

電源タップやUPSを使用している場合は、いったん外して壁コンセントへ直接接続します。

2. 周辺機器を外す

USBメモリ、外付けHDD、プリンター、USBハブなどをすべて外し、電源ケーブルだけの状態で確認します。

3. 機種に電源ユニット自己診断があれば使用する

Dellの一部デスクトップ・一体型PCには、電源ユニットのBIST(Built-In Self-Test)機能があります。

Dell公式では、対応機種でBIST LEDやテストボタンを使用し、電源ユニットが電力を供給しているか確認する手順を案内しています。

Dell:How to Run a Power Supply Unit Self-Test

BISTの有無や判定方法は機種によって異なるため、対象機種のマニュアルを確認してください。

4. 正常な互換電源で交換診断する

修理現場では、仕様が一致する正常な電源ユニットへ交換し、症状が改善するか確認する方法が有効です。

ただし、電源ユニットは外形だけで互換性を判断できません。

確認する項目には次があります。

  • フォームファクター(ATX、SFXなど)
  • 出力容量
  • 必要なCPU・GPU補助電源コネクター
  • マザーボード電源コネクター
  • メーカー独自仕様の有無
  • 物理的な寸法

メーカー製PCでは独自仕様の電源ユニットや配線を使用している場合があります。

モジュラー電源のケーブル流用に注意

モジュラー式電源ユニットは、電源本体からケーブルを取り外せるため便利ですが、別メーカーや別モデルのモジュラーケーブルを流用しないでください。

電源本体側のコネクター形状が似ていても、内部のピン配列が同じとは限りません。

交換する場合は、必ずその電源ユニットに付属するケーブル、またはメーカーが正式に互換性を案内しているケーブルを使用してください。

Seasonicも、電源ケーブルは正しい接続と対応関係を確認して使用する必要があると案内しています。

Seasonic:Which PSU Cables Go Where?

電源ユニットを分解して修理しない

電源ユニット内部には、家庭用コンセントの高電圧を扱う回路と大容量コンデンサーがあります。

コンセントから抜いていても、内部を開けて修理・測定する作業は危険です。

電源ユニット故障が疑われる場合は、基本的に電源ユニット本体を交換します。

ファンだけを交換する、コンデンサーを交換する、基板を測定するといった作業は、一般利用者向けの対処ではありません。

電源ユニットが故障した場合の修理方法

元記事のとおり、基本的な修理方法は電源ユニットの交換です。

交換時は、同一型番または互換性が確認できる製品を使用します。

自作PCでは一般規格のATX/SFX電源を使えることが多い一方、メーカー製パソコンでは次のような独自仕様があるため注意が必要です。

  • 独自サイズ
  • 独自コネクター
  • 独自ピン配列
  • 特殊な電源容量
  • 筐体専用の固定方法

「同じワット数なら何でも使える」というわけではありません。

交換する電源容量は元と同じでよいか

元の構成を変更していない場合は、メーカーが指定した容量・互換部品を基準にします。

グラフィックボードなどを増設している場合は、電源容量だけでなく必要な補助電源、瞬間的な負荷、メーカー推奨条件も確認してください。

容量不足と電源ユニット故障は症状が似ることがあります。

故障前にやっておきたいこと

電源ユニット故障は突然発生することがありますが、元記事で紹介したように予兆が出る場合もあります。

次のような症状が増えてきたら、重要データを早めにバックアップしてください。

  • 電源が入らないことがある
  • 数回押すと起動する
  • 寒い日だけ起動しにくい
  • 休み明けに起動しにくい
  • 使用中に突然電源が落ちる
  • 電源ユニットから以前と違う音がする

電源トラブルでは、電源ユニットだけでなくストレージやマザーボードにも影響が及ぶ可能性があります。

やってはいけない対処

何度も電源ボタンを連打する

電源が入りにくいとき、何十回も電源ボタンを押して無理に起動するのはおすすめしません。

部品劣化や短絡がある場合は、症状が悪化する可能性があります。

焦げ臭い・煙が出たあとに再通電する

安全上、再度電源を入れないでください。

ファンが止まっているだけで電源ユニット故障と決めつける

Zero RPM/Fanless機能を搭載する電源では、低負荷時にファンが停止することがあります。型番と仕様を確認してください。

別のモジュラー電源ケーブルを流用する

コネクター形状が同じでも配線が同じとは限りません。部品破損につながる可能性があります。

電源ユニット本体を分解する

感電の危険があるため、一般利用者が内部を開けて修理しないでください。

修理を検討したほうがよいケース

  • 正常なコンセント・電源ケーブルでも完全に無反応
  • 寒い朝や休み明けに起動しない症状が悪化している
  • 高負荷時に突然電源が落ちる
  • 電源ユニットから異音がする
  • 焦げ臭さ・煙・火花があった
  • メーカーのPSU自己診断で異常が出る
  • 正常な互換電源で交換診断する必要がある
  • メーカー製PCで電源ユニットの互換性が分からない
  • 重要データがあり、これ以上通電を繰り返したくない

よくある質問

電源がまったく入らないなら電源ユニット故障ですか?

可能性はありますが、確定ではありません。コンセント、電源ケーブル、電源スイッチ、マザーボード、接続部品の短絡などでも完全無反応になります。

寒い朝だけ起動しないのは電源ユニット故障ですか?

劣化した電源ユニットで見られることがある症状ですが、ほかの基板部品や接触不良でも起こります。症状が進行している場合はバックアップを取り、早めに診断してください。

電源ユニットのファンが回りません。故障ですか?

Zero RPM/Fanless機能のある電源では正常な場合があります。電源ユニットの型番とメーカー仕様を確認してください。対応機能がないのに回転しない、異常発熱や異音がある場合は故障を疑います。

電源が突然落ちるなら電源ユニットを交換すれば直りますか?

電源ユニットが原因なら改善しますが、CPU/GPUの温度、メモリ、マザーボード、グラフィックボードなどでも同じ症状が出ます。負荷との関係や温度、エラー状況を確認してください。

電源ユニットは自分で修理できますか?

電源ユニット内部は高電圧を扱うため、一般利用者が分解して修理するのはおすすめしません。基本的には対応する電源ユニットへ交換します。

電源ユニットが壊れたらデータも消えますか?

電源ユニット故障だけでHDD/SSD内のデータが必ず消えるわけではありません。ただし、電源トラブルの内容によっては他部品へ影響する可能性もあります。起動が不安定な段階で重要データをバックアップしてください。

まとめ

電源ユニットが故障すると、完全に電源が入らないだけでなく、寒い朝や休み明けに起動しない、突然電源が落ちる、再起動する、画面が映らない、異音がするといった症状が出ることがあります。

元記事で紹介したように、故障前に「たまに電源が入らない」「何度か押すと起動する」といった予兆が出ることもあれば、さっきまで正常だったのに突然故障することもあります。

ただし、これらは電源ユニットだけの専用症状ではありません。まずコンセント、電源ケーブル、周辺機器を確認し、可能であればメーカーの電源自己診断や正常な互換電源で切り分けます。

また、現在の一部電源ユニットはZero RPM機能により低負荷時にファンを停止します。ファンが回らないだけで故障と断定しないでください。

煙、火花、焦げ臭さ、「パンッ」という破裂音があった場合は再通電せず、安全を確保して修理を依頼してください。

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