[記事公開日]2025/10/16
🧠 SSDがRAW形式になったときの修復方法|フォーマットせずにデータを救う手順
もくじ
💡 はじめに
「SSDがRAW形式と表示され、アクセスできない」「フォーマットを求められてデータが開けない」といったトラブルは、ストレージのファイルシステムが破損した際によく発生します。特にSSDの場合、ハードウェアの健康状態が良好でも、ファイルシステムの不整合や論理障害によってRAW状態になることがあります。
この記事では、フォーマットせずにデータを救うための手順を、実際の修復現場で使われる手法を交えて解説します。
📘 概要
RAW形式とは、SSD内のファイルシステム(NTFSやexFATなど)が認識されなくなり、Windowsが「このドライブはフォーマットされていません」と判断する状態です。この状態では:
-
データ領域が存在しても、ファイル構造が読み取れない
-
エクスプローラ上でアクセス不可
-
誤ってフォーマットすると、データが上書きされ復旧難易度が上がる
🔍 主な原因
| 原因 | 詳細説明 |
|---|---|
| ファイルシステム破損 | 強制終了・電源断・OSエラーによりNTFS情報が破損。 |
| クローン・複製時の不整合 | セクタ単位コピーで整合性が崩れた。 |
| パーティション情報破損 | MBR/GPTテーブルの破損により領域が未認識化。 |
| コントローラ異常 | SSDコントローラが書き込みを誤処理して構造を破壊。 |
| ウイルスや暗号化障害 | 不正プログラムによりボリューム情報が変更された。 |
🧭 切り分け手順
① ディスクの管理で状態を確認
Win + X → 「ディスクの管理」を開き、SSDの状態を確認します。
-
「RAW」 と表示されている → ファイルシステム破損。
-
容量が正しく表示されていない → パーティションテーブル破損。
💡 補足: フォーマットの要求が出ても「いいえ」を選択し、絶対に実行しないでください。
② コマンドでディスク情報を確認
管理者コマンドプロンプトで以下を入力:
chkdsk X: /f
※ X: は該当ドライブ。
結果が「ファイルシステムの種類はRAWです」と出た場合、論理障害が確定します。
③ SMART情報の確認
CrystalDiskInfoでSSDの健康状態を確認。
物理異常がなければ論理的修復の見込みあり。
④ データ救出の優先度判断
-
業務データ・写真など重要データがある場合 → すぐに復旧ツールで読み出し。
-
SSD全体が認識されない場合 → SATA/USB変換ケーブルを変えて再確認。
🧰 修復方法
✅ 1. TestDiskでMBR/GPTを修復
-
TestDiskを起動し、RAWとなっているSSDを選択。
- [Analyse] → [Quick Search] → [Write] を実行。
-
正しいパーティションが検出された場合、再起動後に認識されることがあります。
✅ 2. chkdskによる修復(軽度破損時)
chkdsk X: /f /r
※ 「ファイルシステムの種類はRAWです」と出る場合は、次のステップへ。
✅ 3. データ復旧ソフトで読み出し(非破壊)
-
Recuva、EaseUS Data Recovery、R-Studioなどを使用。
-
スキャン結果を別ドライブに保存(同一ドライブへの保存は上書きリスク)。
✅ 4. ディスク構造を再構築(高度修復)
-
MiniTool Partition WizardやAOMEI Partition Assistantを使用。
-
「パーティションの復元」を実行。
-
修復後にWindowsがファイルシステムを再認識する場合あり。
✅ 5. ファームウェア更新・再接続
物理的には問題がないのに繰り返しRAW化する場合、ファームウェアの更新を実施。
SSD内部のキャッシュ制御異常を改善できます。
⚠️ 注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| フォーマット実行は厳禁 | 一度でもフォーマットすると、復旧率が大幅に低下。 |
| 同一SSDへの保存禁止 | 復旧データを同じSSDに保存すると上書きされる。 |
| 修復ツールの使いすぎ | 無数のスキャンでセル寿命を縮める恐れ。 |
💡 補足: SSDはHDDに比べて書き換え耐性が低く、復旧作業の繰り返しで寿命が縮みます。必要最低限の操作で対応しましょう。
💥 放置するとどうなるか
| 状況 | 想定されるリスク |
|---|---|
| RAW状態のまま放置 | ファイル構造情報が完全に失われる。 |
| 不良セクタの拡大 | SSDの一部領域が再利用不能になる。 |
| 誤ってフォーマット | 復旧困難・データ上書き。 |
💡 補足: 放置すればするほどデータ構造の破損が進行し、復元率が下がります。早めのバックアップ・救出が重要です。
🧾 まとめ
-
RAW表示はファイルシステム破損による論理障害。
-
フォーマットせず、TestDiskや復旧ツールで修復を試みる。
-
chkdskで回復しない場合はデータ救出を優先。
-
定期的なバックアップでRAW化リスクを回避する。
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✨ さいごに
SSDがRAW形式になると焦りますが、多くの場合はファイルシステムの破損による論理障害です。フォーマットせず、まずは非破壊の手順でデータを保護しましょう。修復が難しい場合は、データ復旧業者への依頼も視野に入れるのが安心です。
